上写真=今季からキャプテンに就任したDF谷口(写真◎Getty Images)
前半戦は想定内の出来
18試合を終えて15勝2分け1敗。リーグ最多の55得点を量産し、失点も最少タイの16と攻守で圧倒的な強さを見せているが、センターバックを務める谷口にとってはこれも想定内だという。「いい戦いができていると思う。ただ、これくらいはできる、という感覚はあったので特別な驚きはない。それくらい自信があった」。誠実な人柄で知られるキャプテンの言葉に嘘はない。
川崎Fを率いる鬼木達監督は「選手層の厚さはうちが一番」と語り、選手たちは今季好調の要因は「チーム内の激しい競争」と口をそろえる。谷口もそれに同意する。
連戦の疲労を考慮され、第16節のサンフレッチェ広島戦で今季初めてメンバー外となったが「みんなのパフォーマンスが素晴らしかったので、何も心配することなく見られた」と振り返り、続けて「ヤマくん(山村和也)とジェジエウがセンターバックを組んで素晴らしかったですし、自分もうかうかしていられないという思いになった。高いパフォーマンスを出し続けないと、このチームでは出られない」と語った。
その広島戦で山村が今季初ゴールを挙げた際、中継映像ではスタンドで大喜びする谷口の姿が映された。「なかなか試合に出られなかった選手が結果を残すことは、同じチームメイトとしてうれしい。ライバル関係ではありますけど、素直にうれしかった」。チームの一体感を示す1コマだった。
加入7年目の今季、小林悠からバトンを受け継いでキャプテンに就任。シーズン半分を終えてみての感想を聞くと「日頃のトレーニングからみんなが高い意識でやっているので、特に僕がどうこう言うことはない」と答えた谷口だが、試合中のゲーム運びで唯一、苦労があったという。
「交代枠が増えて(リードした状況でも)もっと点を取りたいという選手が途中から出てくるので、それをいかに止めるか…。そのへんのゲームコントロールはちょっと苦労しました(笑)」
手綱を締めなければ走り続ける馬のように、今季の川崎Fは止まることを知らない。
その勢いに任せてシーズン終了まで走り抜けたいところだが、「残り半分あるので、どうなるか分からない」と谷口。「正直、まだ優勝を意識していない」と語り、ここからが「本当の戦い」と気を引き締める。
「ただ、自分たちが常に1位で引っ張っていく、というこだわりを持ち続けながらやっていきたい。目の前の1試合1試合にどれだけ集中できるか。そこに尽きると思う。自分たち次第と思っているので、周りのことは考えていません」
過去2度(2017年、2018年)のリーグ制覇は追いかける立場からの逆転優勝だった。首位ターンはクラブ初であり、後半戦は未知の領域に足を踏み入れる。王座奪還に向けて、谷口の言うとおり、ここからが「本当の戦い」だ。