上写真=北爪のゴールに歓喜の表情を見せる大谷秀和(右/写真◎Getty Images)
■2020年9月19日 J1リーグ第17節(観衆2,728人/@三協F)
柏 1ー1 広島
得点:(柏)北爪健吾
(広)ドウグラス・ヴィエイラ
後半戦は接戦をものにできるように
大谷秀和はリーグ再開から3連敗して迎えた7月18日の湘南ベルマーレ戦に先発し、勝利に貢献して以降、リーグ戦では13試合すべてでスタメンを飾っている。この日の広島戦でもボールを縦横に配り、ピンチの芽を摘んだ。その存在感は圧倒的で、文字通りのレイソルの柱として、チームに落ち着きをもたらしている。
今年で18年目のベテランにして、超過密日程を休まずプレーしていることも驚きだが、そのパフォーマンスが落ちていないことも驚きだ。広島戦で北爪健吾が挙げた同点ゴールにもしっかり関わっている。
相手のパスをカットしたCB山下達也からパスを受けると、スムーズに反転。すぐさま前方で相手DFを背負うオルンガに縦パスをつけた。守備から攻撃に転じた場面で、何気ないプレーに見えるが、無駄にボールを持ち過ぎず、どこに出すかの選択にも狂いはなく、攻撃を加速させた点で、その仕事はやはり重要だった。戦況を見極める目も、まったく衰え知らず。大谷は依然として大谷である。
「体調管理には気を付けていますし、割と自分の中でのルーティンとかを持ちながらやっているタイプだったんですけど、今年はコロナの状況もあって思うような準備ができないので、去年までの自分よりはいい加減というとあれですが、少し適当なところも受け入れながらやっている感じはありますね。連戦になると回復は若いときよりは落ちていると思うのですが」
本人はさらりと言ってのけるが、イレギュラーな状況を受け入れ、自身を最適化することができているからこそ現在の充実がある。そんな柔軟なスタンスもまた、大谷が長きにわたり主力であり続けている理由なのかもしれない。
「交代枠が5人あって、良い選手も控えていますから、出し切るだけ出し切って。しんどくなって自分が交代してもパフォーマンスを上げてくれる選手がいるというのは心強いなと思います」
チームメイトへの信頼を語るところもまた、大谷らしい。リーグ戦はこの日でちょうど半分の17試合を消化した。次節からはシーズンの後半戦に突入する。
「今日はシステム的にかみ合うところも多く、先制されたことで少し難しくなった。でも前半の終了間際に健吾のゴールで追いつけて、後半は押し込む時間も長かった。勝ち切りたかったですね。お互いにチャンスがあったゲームでしたが、こういう接戦をシーズンの後半戦はものにできるようにしていきたい」
残り17試合も柏レイソルの中心にはキャプテンマークを巻く背番号7、大谷秀和がいるーー。
取材◎佐藤 景 写真◎Getty Images