明治安田生命J1リーグは9月19日と20日に第17節を向かえる。FC東京は前節で大分トリニータに敗れているだけに、連敗は避けたい。ベガルタ仙台戦を前にディエゴ・オリヴェイラが語ったのは、「愛される理由」だった。

上写真=チームのために戦う姿勢がにじみ出るのがディエゴのプレー(写真◎Getty Images)

「チームに貢献するためにプレーする」

 こんなに点を取ってくれて、こんなに守ってくれて、こんなに献身的なブラジル人アタッカーが、ファン・サポーターに愛されないわけはない。ディエゴ・オリヴェイラは何度も何度も「チームに貢献するためにプレーする」と言い続けるのだ。

 今年のFC東京は大きく「8月前」と「8月後」に分けることができる。「8月後」では主力の移籍と負傷離脱による若手の登用とターンオーバー、4-3-3のアンカーシステムの安定によって、上位をキープしてきている。これまであまり出番のなかった若い選手たちが生き生きとプレーできているのも、主力が背中を押しているからで、ディエゴ・オリヴェイラもその一人。

「今年はタイトなスケジュールということで、チームみんなで戦っています。若い選手たちが出場する時間が増えていることはいいことで、試合に出場していろいろな経験を積んでいることが彼らにとってもチームにとっても成長になっています」

 第15節の横浜FC戦では田川亨介と原大智のゴールで2-1の勝利を収めているし、第16節のヴィッセル神戸戦ではディエゴ・オリヴェイラのパスから田川がセンタリングしてアダイウトンのゴールをアシスト、第17節の大分トリニータ戦では2-3で敗れたものの、品田愛斗がプロ初ゴールで追い上げを見せた。ディエゴ・オリヴェイラが右サイドで組む中村帆高や中村拓海とのコンビもサイドアタックの大きな武器になりつつある。

 それも、この背番号9の献身的なプレーがあってこそだ。

「サイドでのプレーはブラジルでも経験がありますから違和感はありません。もちろん、最前線でプレーするよりはディフェンスの量は増えますが、どこでやろうとチームプレーをするつもりなので戸惑いはありません」

 確かにディフェンスでの貢献度は眼を見張るものがある。右にディエゴ・オリヴェイラ、真ん中に永井謙佑、左にレアンドロという3トップは攻撃力が魅力なのは当然のことだが、永井が追いたて、ディエゴ・オリヴェイラやレアンドロがサイドで寄せて、というプレッシャーが相手を困らせるシーンは何度もある。

「守備で考えるのは、どうやってはめるか、ということです。監督の指示の下で練習していますし、試合では相手があることなのでケース・バイ・ケースだけれど、話をしながら取り組んでいます」

「奪えるのであれば奪い切りますし、でも簡単に奪えるわけではないのでしっかりとポジショニングを取って寄せたり、常に位置を修正することが求められています」

 そして、奪ったら即、攻撃だ。

「いいポジションで守備に入ってから奪ったあとは、いかに点を取るかを考えます。前線の動きは自由に任されているので、ゴールを求めていきます」

 神戸戦の58分に決めた今季7得点目が象徴的だ。相手のバックパスのミスを高萩洋次郎が奪ったとき、ディエゴ・オリヴェイラは左寄りの自陣に入ったところにいた。そこからゴールに向かって一直線、40メートル以上を止まることなく走りきってペナルティーエリアに進入すると、高萩からの優しいパスを左足でしっかりと流し込んだ。

 守から攻への一瞬の切り替えと、長い距離を走る献身性、そしてゴールに真っすぐ進んでいく意欲。

「いつでも精一杯のプレーをして、常に勝ちたいんです。私は負けたくない、負けたら悔しいという気持ちが人一倍あるんです」

 それが、愛される理由。


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