上写真=ケガ人が続出した中で「よく戦った」とネルシーニョ監督は前半戦を評価した(写真◎Getty Images)
チームのスタンダートが浸透している
16試合を終えて勝ち点26。シーズンのちょうど半分となる17試合目、次節の広島で勝利を収めたとしても勝ち点29。その数字について、ネルシーニョ監督はどうとらえているのか。
「いろんな問題に直面する中で進んできたが、今日までに11人の選手がメディカルで治療する状況があった。非常にケガ人が多い中で、それでも選手たち一人ひとりが役割を果たし、順位表を見ればわかる通り、3位、4位のチームとそれほどポイント差のない戦いができている。非常に評価できると思う。選手たちが非常によく戦ってくれている」
一時は本職のCB4人がケガで不在となり、メンバー編成にも苦労した。手練手管の指揮官ならではのアプローチと選択で、乗り越えてきた前半戦。古賀太陽や川口尚紀のCB起用と3バックの採用は象徴的だろう。
「セレッソ戦などは本職のCBが一人しかおらず、どうにかやりくりしていかなければならなかった。いくつかの試合では3バックで戦ったが、基本的には4バックでやってきた中で、それでも結果が出ているのは、プレーする選手が代わっても戦い方が変わっているわけではないからだ。試合の流れに応じて、必要性に応じて選手の役割は変わるが、戦い方は一貫性を保っている。それがチームとしてのスタンダードとなり、そのスタンダードが選手に浸透していることで、ここまで結果が出ているのだと思う」
非常事態を乗り越えるための戦いは、図らずもスタンダードの浸透を確認することになった。指揮官は、シーズン後半に向けて、自信を口にする。
「後期は、いまリハビリに励んでいる選手が徐々に戻ってくる。彼らとまた一丸となって戦える。チームとしてやれることの幅も広がっていくれはずだ。戻ってくる選手の活躍にも期待したい」
シーズンの目標である勝ち点70を手にするには後半戦、かなりのハイペースでポイントを取らねばならない。ただ、少なくとも現時点において、開幕前に掲げた目標を下方修正する必要はないだろう。前半戦は高い目標に向かうための『準備期間』になったからだ。
「前期のチームの戦いは私自身、非常に評価しています。選手たちがすべての試合において戦う姿勢を見せてくれた。これだけタイトな、ほぼほぼ中3日のサイクルで試合が続く中で結果を出してくれた。目標とする勝ち点に届かないことが、ここまで戦ってきた価値を下げるわけではない。しっかりとやってきたことを評価したい」
多くの選手が出場機会を得て、戦力そのものが拡充したのは間違いないところだろう。まもなくケガ人も戻ってくる。ネルシーニョ監督と選手たちは、まずは次節の広島戦に勝ち、後半戦で70ポイントに少しでも近づけるように、このタイトなシーズンを進んでいく。