明治安田生命J1リーグ第24節でFC東京のホームに乗り込んだ大分トリニータ。開幕戦以来の出場を果たしたのが野村直輝だ。「信念の男」が復帰戦でいきなり1ゴール1アシストを決め、勝利をもたらしたのである。

上写真=復帰ゲームで一発回答。野村が87分に決めて大分に勝利をもたらした(写真◎J.LEAGUE)

■2020年9月16日 J1リーグ第24節(@味スタ:観衆4,782人)
FC東京 2-3 大分
得点:(東)レアンドロ、品田愛斗
   (大)松本怜、田中達也、野村直輝

チームのために戦う

「みんなでつないでくれたボールを突き刺すことができたのはうれしかったです。いろんな人の思いが乗ったボールでした。皆さんの気持ちが乗ったゴールだったと思います」

 復帰戦のゴールが決勝点。みんなの思い、だけではなく、自らの思いが野村直輝の移籍後初ゴールを生み出した。

 J1第24節のFC東京戦。野村はこの試合が7カ月ぶりの公式戦だった。今季、徳島ヴォルティスから移籍してきて、背番号10を託されるほどの期待を集めた。開幕のセレッソ大阪戦に70分から出場を果たしたのだが、その後、原因不明のヒザ痛に悩まされてピッチを離れた。

「公式戦でこれだけ…7カ月ぶりになるんですけど、離れたことはありませんでした。朝から、あ、今日は試合の日の朝だ、といういい緊張感があって、僕はピッチに入るときに熱くなりすぎるんですけど、それも抑えながらワクワクできました」

 1-1で迎えた67分にピッチに入ると、生き生きと駆け回った。

「試合の流れもあったので入りやすかったですね。スペースもあったので、自分の特徴を出せると思っていました。落ち着いてプレーできたかな」

 久々の芝生の感触を楽しみながら、その落ち着きをいきなり結果に結びつける。82分に左サイドでボールを持つと、軽やかなステップワークから相手の逆を取って縦に突破して、センタリング。これが逆サイドまで流れて田中達也の追加点を生んだ。そして、その3分後。

 今度は、田中が右サイドからドリブル突破を仕掛けてニアにセンタリング、伊佐耕平が蹴り込もうとしたボールが跳ね返って目の前にこぼれてきた。これを左足だけでステップして体をひねるようにしながら右足ですくい上げてきっちり蹴り込み、スコアを3-1へと動かした。「田中選手がしっかり仕掛けて、伊佐選手が体を張ってくれたのでこぼれてきて、それを仕留めた感じです」。後半途中から交代で出場した3人でもぎ取った一発。このあと、FC東京に1点を決められたから、結果的にこれが決勝ゴールになった。

「責任感を持っていい影響をチームに与えられるような選手になっていきたい」

「チームのために戦うのはいつも大事にしている僕の信念。その部分を見せたい」

 これまで大分のサポーターに見せることができなかったその熱い気持ちを、これからたっぷりと伝えていくつもりだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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