上写真=野村直輝(10)のゴールに喜びの輪。大分が見事な3得点で勝利!(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月16日 J1リーグ第24節(@味スタ:観衆4,782人)
FC東京 2-3 大分
得点:(東)レアンドロ、品田愛斗
(大)松本怜、田中達也、野村直輝
「東京さん相手に悔しい思いをしてきた」
この両チームは9月5日に第14節で対戦したばかりで、そのときはセットプレーの流れから決めたFC東京が1-0で勝っている。しかし今回は、出入りの激しいゲームとなった。
といっても前半は、どちらもじっくりと相手を値踏みするようなスタートだった。連戦の影響か、秋の涼しさが感じられる快適な環境だったものの、どちらも守ってはさほど厳しくプレスに出ず、攻めても推進力を生かすというよりはゆっくりと時間を進めていく。
選手の特性とチームのアイデンティティの違いがはっきりと出て、FC東京が縦方向にボールを運んで前線に早めにポイントを作れば、大分は逆に横にボールを動かしながら慌てずじっくりと穴を探していく展開になった。ビッグチャンスという意味ではFC東京が25分に右サイドを崩してディエゴ・オリベイラが放ったシュートが上に外れたシーンぐらい。大分は主に左サイドの近距離パスワークで前進しておいて、戻してクロスというパターンが目立ち、しかしいずれも中で待つ選手とぴったり合わずに決定には結びつかない。
それが後半早々の53分に大分が先制してから色が変わる。FC東京のつなぎのミスを左サイドでつついた松本怜がそのままゴール右にていねいに流し込んで今季初ゴールを決めると、FC東京がその8分後に中央を割って最後はレアンドロが決めて同点。ここから両チームとも攻撃的な選手を投入してギアを上げていく。
すると大分が82分に左サイドの野村直輝の突破から最後は逆サイドで田中達也がプッシュ、3分後に今度は右からの田中の突破からゴール前で混戦になり、野村がプッシュする連続ゴール。交代選手が「横」から揺さぶった大分が一気に突き放した。
こうなると攻めるほかないFC東京はさらに2人を投入して攻めに攻めた。アディショナルタイムにはアダイウトンのロングドリブルから田川亨介がシュート、GKがはじいたところに品田愛斗がヘッドで押し込んで2-3とすると、あとは徹底的にボールをゴール前に運ぶパワープレー。絶好機もあったが決めきれず、そのまま試合は終わった。
「いままで東京さん相手に悔しい思いをしてきたが、勝つことができてよかった」と力強く語ったのが大分の片野坂知宏監督。サイドの選手起用に変化をつけてきたが、交代策も含めて推進力、アグレッシブさが生きた勝利になった。
ホームで黒星を喫した長谷川健太監督は、終盤の迫力ある攻撃の連続を評価。ただ「前半からああいうふうに戦えるようにしていきたい」として、「難しい展開になった」と前半の戦いを悔やんだ。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE