明治安田生命J1リーグ第16節で、川崎フロンターレの13連戦がようやく終わる。10連勝達成、初黒星など話題に事欠かなかったが、数字そのものに意識はない鬼木達監督でも、ゴールの数にだけにはこだわりを見せている。

上写真=13連戦の最後を気持ちのいい勝利で終わりたいと鬼木監督(写真◎Getty Images)

過去最多得点「84」を上回れるか

 川崎フロンターレの長い長い13連戦の終わりが、ようやく目前に迫ってきた。気持ちよく一息つくために、最高の勝利をつかみたい。明治安田生命J1リーグ第16節、サンフレッチェ広島戦を前にして、それが鬼木達監督の願いだ。

「せっかくここまでみんなで力を合わせてやってきたんですからね。もちろんこれで終わりではないですが、13連戦の一区切りということで、うちにとってはリーグ戦はちょうど折り返しにもなりますし、しっかりと勝ち点3を奪って、ホームで神戸戦よりいいゲームを見せたいという思いがあります」

 確かに前節では粘って逆転勝利を手にしたとは言え、ヴィッセル神戸に苦しめられた。

「ミスが原因というよりも、マイボールの時間が増やせませんでしたね。原因は、一人ひとりがもっと顔を出せるタイミングがあったのに、少し人任せになってしまったかな、というところです。逆に、点が入るシーン(逆転弾)はいろんな選手が絡んで取りにいこうとしていたので、結局、そういうところなのかなと思います」

 85分の逆転のシーンは、右サイドで脇坂泰斗、レアンドロ・ダミアン、宮代大聖が絡んでつなぎ、脇坂がドリブルで突進すると、宮代が右から、三笘薫が左から、レアンドロ・ダミアンと大島僚太が後ろから、さらに左深くから車屋紳太郎が一気に並走するようになだれ込み、最後は宮代がJ1初ゴールを決めてみせたのだった。「そういうところ」とはまさに、多くの選手が見せたこの意欲と迫力のことだろう。

 そんな神戸戦での重たさを払拭するためにも、「前半ラスト1」を川崎Fらしい姿で勝って終わっておきたい気持ちが強い。

 13勝2分け1敗、得点47失点15、勝ち点41で首位と、結果でも内容でも優勝の最右翼と見られている。最多勝ち点や最多得点など、このチームならではの記録更新にも注目が集まるかもしれないが、鬼木監督は「数字はいっさい意識していないんです」とさらり。

「そこに対しては何もないと言ったら変ですけど、数字に関しては自分としては意識していないです。優勝するための勝ち点なので、優勝にだけこだわっています」

「ただ…」とつなげた言葉に本音が見える。

「1試合を通して多くの点を取ることは変わらずやっていきたいですね。3-0でも1-0でも勝ち点が3であることは変わらないですけれど、自分たちはサッカーをエンタメだと思っているので、できるだけ得点して価値あるものを見せたいと思っているんです。だから、ゴールは少しでも多く取り続けたい思いはあります」

 ちなみに、現在と同じ18チームによる1シーズン制のJ1リーグで過去最多の勝ち点は、2006年の浦和レッズ、07年の鹿島アントラーズ、10年の名古屋グランパス、11年の柏レイソル、17年の川崎Fが手にした「72」。同じく最多得点は、06年に川崎Fが記録した「84」である。現在の川崎Fはシーズンの半分から1試合少ない16試合を消化して、勝ち点41、得点47。単純計算で倍にするだけでも、どちらも余裕でクリアするが、果たして。


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