上写真=2週連続でゴールを決めた宮代。才能を発揮し始めている(写真◎J.LEAGUE)
もっともっと意識高く
派手に喜んだのはゴールのあとだけだった。
ずっとほしいと言っていたJ1リーグでの初ゴールを、第15節のヴィッセル神戸戦で決めてみせた。しかも、終了間際の決勝ゴールだ。苦しい内容のまま時間が進み、66分にピッチに登場、レアンドロ・ダミアンが83分にPKで2-2とした2分後、相手のボールを奪ってから一気に仕掛けたカウンターで、脇坂泰斗の優しいパスを右足で蹴り込んだのだ。
「自分が求められていることを理解してピッチに入れたので、準備していた部分もありましたし、自分のできることをやったという感じですね」
改めてそう振り返る。ゴールの直後はさすがに満面の笑みを浮かべたが、あとはまたクールないつもどおりのポーカーフェイス。それは川崎フロンターレだからこその競争があるからだ。
「このチームで試合に出続けるには、結果を出し続けなければいけないんです。そのためには練習からいつも通りにやってはいますけど、もっともっと意識高くゴールにこだわってやっていかないと、意識が薄れてしまうんです」
この1週間前にはJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝で同じ神戸からプロ初ゴールを奪っていて、「2週連続弾」ということになるのだが、多くの攻撃的なタレントを抱えるチームの中で喜んでいるばかりでは先が続かない。その危機感が、20歳のアタッカーの心に強く根づいている。
頼もしいのは、3トップのどこのポジションに入ったとしても違和感なくプレーできるという自信だ。
「手応えはありますし、結果的には自分が一番いたい場所はゴール前です。そこで仕事をしなければ意味がありません。そこから逆算して考えれば、どこのポジションであっても変わらないという考えです。頭は整理できていると思います」
次のサンフレッチェ広島戦を終えるとリーグ戦は折り返し地点。「後半」に向けてもっともっとゴールがほしい、という意欲が止まらない。
「自分の中では公式戦で2ケタ得点はいきたいです。それぐらい強い気持ちを持ってやっていかなければならないと思います」
リーグ戦の残り18試合とルヴァンカップで最大2試合、天皇杯で最大2試合の計22試合であと8点。成長著しいこの背番号20にとっては、決して難しくないのかもしれない。