横浜FCの安永玲央が9日のJ1第15節・FC東京戦でJ1デビューを飾った。先発フル出場を果たし、指揮官も評価するプレーぶりで90分間を駆け抜けた。最初の一歩を刻んだ安永は手応えを感じながらも、試合後には敗戦を悔しがり、「まだまだ」とさらなる向上を誓った。

上写真=J1デビュー戦で90分間プレーした安永。指揮官も高く評価した(写真◎J.LEAGUE)

■2020年9月9日 J1リーグ第15節(観衆4,941人/@味の素)
FC東京 2-1 横浜FC
得点:(F)田川亨介、原大智
   (横)皆川佑介

この日のためにいろんなものを犠牲にしてきた

 安永玲央が、ついにJ1デビューを果たした。ドイスボランチの一角として先発し、フル出場。堂々たるプレーぶりは、これはJ1初戦とは思えないものだった。

 球際で相手に体をぶつけてボールを奪いにかかり、奪取後はシンプルにつないで攻撃に転じた。

 試合前に「十分にやれる」と話してピッチに送り出したという下平隆宏監督は、安永のプレーをこう評価した。

「起用するに当たって、彼がコツコツと積み上げてきたのでJ1でもプレーできると確信していました。試合はデビュー戦にしては100点に近い。これに勝利がついてくるような試合になれば自信になったと思います。彼自身は攻守でチームに貢献してくれました」

 指揮官の言葉からも上々のデビューだったことが分かるだろう。本人の評価は、どうか。

「自分はこの日のためにいろんなものを犠牲にしてきて、やっともらった出番。試合前は緊張していましたが、試合では自分が持っているものを出せたと思います。ボール奪取や展開の部分、セカンドボールの回収などは出せたかなと」

 2018年に2種登録され、昨年トップに昇格、J2デビューを飾った。シーズン途中からはカターレ富山に期限付き移籍し、研鑽を積んでいる。しかし、その両リーグでの出場数は片手に余る。

「長かったですね」

 J1デビューまでの道のりを、本人はこう表現した。今季はルヴァンカップのグループステージで2試合にフル出場を果たし、(8月5日の鳥栖戦、8月12日の札幌戦)、J1チーム相手にも十分にやれるところを示していた。ただ、そこから1カ月、待たなければならなかった。

 貯め込んだ思いを開放をするかのように、ボール奪取で体を張り、ボランチコンビを組む手塚康平との距離に気を配りつつ、ビルドアップにも加わった。63分にはバックパスが弱くなったところをレアンドロに奪われてシュートに持ち込まれるミスもあったが、印象的なプレーを随所に披露した。

 父はスペインでもプレーした安永聡太郎氏。言わばサラブレットだ。その父からはデビュー戦にあたって「『自分のできることを全力で』と言われました」と明かす。自分のできることを全力でやった90分は、印象的なものになった。

「J3とJ2、J1と全部経験して、何が違うかといえば圧倒的に個の部分。個の能力がJ1はすごく高い。その中で自分がやれている部分はありますが、まだまだ自分ならできると思うし、守備だけではなく攻撃の部分でもチームの中心になっていかないといけないと思います。積み重ねて頑張っていこうかなと思います」

 ようやくスタート地点に立った。安永のキャリアはここから本格的に始まっていく。「チームの中心になっていかないといけない」。19歳の堂々たるプレーと曇りなき決意は、横浜FCの大いなる未来を予感させた。

取材◎佐藤 景


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