上写真=「強い気持ち」を取り戻した鬼木監督と川崎F。ますます強くなりそうだ(写真◎Getty Images)
Jリーグを引っ張っていくために
8月23日、明治安田生命J1リーグ第12節で名古屋グランパスに0-1で敗れて連勝が10でストップ。続く26日の第24節・ヴィッセル神戸戦は2-2のドロー。ところが、次の29日の第13節では清水エスパルスに5-0で大勝し、9月2日のJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝の神戸戦ではそのスコアを上回る6-0の圧勝で準決勝進出を決めた。小さな足踏みのあとの2試合連続大量得点によって、川崎フロンターレは完全に息を吹き返したようだ。
その意味で、11日間で行われたこの4つの試合は、シーズンを振り返るときに転換点になるだろう。
「自分たちが目指しているものは、気持ちがついてこないとやれないサッカーです。相手にやられないように、ではなく、やらせないという強い気持ちでプレーしなければなりません。ちょっとした言葉のニュアンスかもしれないけれど、そういうところから大きな差が生まれるのです」
鬼木監督が名古屋から神戸の連戦で得た気づきは、それだった。強い気持ち。だから改めて、目指すところが明確になった。
「選手の良さを全面に出したいと思っています。この仕事をしている限り、見てくれている人がいるわけで、その人たちに向けて喜んでもらえるのはやはりゴールだと思っていますし、改めて自分も選手と一緒にやっていて楽しくて、見ていても楽しいものを追求したいと思います。それはアウェーのお客さんであってもそうで、もちろん敵ではあるんですけど、フロンターレのサッカーを見ることができて良かったと思ってもらえるようにしたいんです。Jリーグを引っ張っていくためにも必要だと思っていますから、こだわっています」
自分たちの勝利と、Jリーグ全体の興隆。その両方を追い求めるという責任が鬼木監督を突き動かしているのだ。
そのためにもゴールが、そして勝利が必要だ。9月5日、J1第14節では横浜F・マリノスが立ちはだかる。昨季チャンピオンで、昨年のホーム最終戦で1-4という屈辱の敗戦を喫した難敵。しかもここ4試合は、清水エスパルスに4-3、サンフレッチェ広島に3-1、北海道コンサドーレ札幌に4-1、神戸に3-3と、大量得点で3勝1分けの好成績を残している。
鬼木監督は最大限のアラートを発している。
「すごくアグレッシブなチームなので、それを受けるのではなくて自分たちもアグレッシブさで上回っていきたいと思います。去年の悔しさが僕たちにはありますし、誰一人として自分たちがいま首位にいるから強いとは思っていません。強気で進めたいと思います」
「やっぱり大きなゲームになると思います。そういう認識で戦わないといけないと思っています。34分の1という考え方は一切ありません。ここにかける思いはあります。そういうものをぶつけないと、簡単には勝たせてもらえない相手だと思っています。自分たちもそうですが、マリノスもスタイルを突き詰めるチーム。だから、プライドを持って戦います。情熱を注いでやりたいと思います」
言葉がどんどん熱を帯びていく。まるで試合の前兆のようだった。