上写真=ここまでリーグ戦12試合に出場している横浜FCの瀬古(写真◎Getty Images)
熱い試合ができたら、と思います
今季ここまで12試合に出場し、うち先発は8試合。端から見れば、大卒ルーキーながらトップレベルでプレーできる能力があることを十分に示していると映る。本人の評価はどうか。
「中断明けからここまで2カ月を試合をやってきて、自分自身のプレーとしては、チームのためになれたところもあれば、そうでない部分もありました。まだ、自分の中で評価を決めるまではいかないですけど、そこまで悲観するプレーではないかなとは思います」
まだ評価する段階にないとしながらも、着実に歩みを進めていると実感しているようだ。下平隆宏監督もその才能を認め、成長に大きな期待を寄せている。連戦で酷使せず、疲れが見られれば、しっかり休ませ、起用していることからもそれはうかがえる。
開幕スタメンを飾り、いきなりゴールを決めたものだから、『そういう選手』に見られがちだが、ボランチ瀬古の最大の売りは優れた危機察知能力であり、ボールを回収する能力だろう。ゲームの作り手である佐藤謙介や手塚康平をボランチに並べてスタートした試合において、瀬古が途中から交代出場したあとで、中盤における攻守のバランスが改善し、守備が安定した試合がいくつもある。本人も課題に挙げるパス精度や展開力が向上すれば、それこそチームの屋台骨を支える存在になれるだろう。その片鱗は、すでに見せている。
「自分の特長は、出場した試合では出せていると思います。ただ、僕自身、ボランチとしてゲームを落ち着かせる部分だったり、基本的なパスの精度は、全然足りないと思っています」
大学三冠を達成した明治大時代のチームメイトである安部柊斗(FC東京)や中村帆高(FC東京)らもJ1の舞台でその力を発揮している。とくに安部は定位置を確保し、得点もスコア。同じボランチとして、刺激を受ける存在だ。
「やっぱりすごく刺激になります。毎週毎週、自分も(プレーを)チェックしていますし、同期の活躍は自分を奮い立たせてくれるもの。次の試合も相手に森下がいるので、熱い試合ができたらいいなと思います」
次節(明日5日)の対戦相手、鳥栖にも明治大でチームメイトだった森下龍矢がいる。8月5日のルヴァンカップの試合では、瀬古は出場したものの、森下はベンチ外で対戦がかなわなかった。森下も安部と同じくJ1クラブで定位置をつかんでいる選手。意識せずにはいられない。
「(長らく活動休止中だった)鳥栖がどういう準備ができているのか分からないところもあります。試合ができていなかった中で、試合勘が鈍っているのか、逆に体が休めて軽くなっている部分があるのか。どっちに転ぶか正直分からない。なので、相手がどうこうよりも今週、自分たちが準備してきたことをしっかり発揮することが大事になると思っています。それが勝利につながると思います」
仲間とのピッチ上での再開を楽しみにしつつ、アウェーながら目指すのはもちろん、勝ち点3。瀬古は「熱い試合」を誓った。