形はできている。結果が出ていない。それが相馬勇紀の最近の自己評価だ。しかし、それも改善へ向かっている実感があるのだという。ドリブルという自分の武器をチームの力に変えるために、電撃ドリブラーが生きる道。

上写真=あとは結果を出すだけ。相馬のドリブルがもう少しでまた一皮むけそうだ(写真◎GettyImages)

「ナイーブになっているわけではない」

 氷上を滑るようなスピード感、急ストップを繰り返してすり抜けていくステップワーク、その両方を同居させるドリブルこそ、相馬勇紀の魅力だ。

 9月2日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝では、FC東京に0-3で敗れた。先発した相馬は前半で交代させられている。左サイドのアタッカーとしてゴールに迫ろうと尽くしたが、かなわなかった。

「いいときには、特に攻撃の部分の爆発的なスピードという武器を最大限に生かしながら、チームの力に変えることができていました。でもいまは、うまくいかないことが多いなと思っています。でも、少しずつ自分の中でもチームのためにやることと自分の特徴とをチームに還元でき始められそうだなという感覚はあります」

 すっきりしないというかモヤモヤが晴れないというか、そんな感じにも見える。だが、「自分の形が出せていないけれど、ナイーブになっているわけではないですよ。チームの助けになることを最低限で形にしていきたい」と意欲が薄れているわけではない。

「自分の良さやどんどん仕掛けていくチャレンジしていくのは、昨日の試合(FC東京戦)でも何度かチャンスになっていましたし、ゴール前でのプレーも増えています。いいときはペナルティーエリア付近での仕掛けができているので、その回数を増やせればいいと思います」というリアルな感覚と、「迷っているわけではなくて、結果論ですが、客観的に見て(結果を)出せていない」という現実の間で揺れているのだろうか。

 だとしたら、これはもしかしたら、何かが生まれる前兆かもしれない。

 そのドリブルはかなり警戒されていて、FC東京戦でも複数の選手が挟み込むようにプレッシャーをかけてくるなど、マークは厳しさを増している。だが、それを逆手に取るのが相馬のイメージだ。

「マークが激しく来るということは、逆に食いついてくる分、背後のスペースが空いたりしています。オフザボールの動き出しやボールをもらうときにどれだけ相手との距離を作れるかが大事なので、それは実践していきたいですね」

 そこで大事になってくるのが「スプリント」だという。

「僕たち前線の選手はどれだけカウンターや速い攻撃で前に出ていけるかですが、それにはスプリントが大切だと思います。駆け引きで決め手になるのは一瞬の爆発的なスプリントで背後を取ったり相手をはがしたりというところで、逆に守るときにはそういうところを脅威に感じますから、スプリントがより速さを引き出すものだと思っています」

 静から動へ。その一瞬にかける相馬が覚醒するまで、あと少し。


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