上写真=(写真◎J.LEAGUE)
■2020年8月29日 J1リーグ第13節(@三協F柏:観衆2,728人)
柏 2-3 鹿島
得点:(柏)オルンガ2
(鹿)三竿健斗、土居聖真2
勝って称賛、負けて敬意
夏の終わりの死闘だった。
柏レイソルが2-1でリードして迎えた89分、鹿島アントラーズの土居聖真が左からの永戸勝也のクロスをニアで流し込むと、その2分後のアディショナルタイム1分に今度は右からの三竿健斗のクロスをまたも土居がヘッドでゴール。1人少ない柏を攻めあぐねながらも、最終盤の電撃的な連続ゴールで鹿島が振り切った。
序盤はセカンドボールを柏が次々に回収していく展開。激しく、というよりは、いるべきところに選手がいて自然に収めていった。拾ったボールはボランチの大谷秀和、サイドバックの三丸拡、サイドハーフのマテウス・サヴィオで運んで、左サイドの攻撃が機能していく。
ところが徐々に、ピッチでは不穏な空気が濃くなっていく。30分前後から激しいチャージの応酬が続いて試合が途切れがちに。すると、前半アディショナルタイム5分に柏の高橋峻希が2度目の警告を受けて退場。柏は11分に高橋祐治が、39分にマテウス・サヴィオが負傷で交代を余儀なくされていて、前半のうちに「三重苦」を受けることになった。どちらも複数の選手が関わって作ったビッグチャンスがあっただけに、それを打ち消すようなラフプレーが水を差す展開になった。
ただ、最初のゴールが1人少ない柏の方に生まれたから、一気に活性化していく。57分にGK中村航輔のロングキックから右サイドでオルンガが競り合い、中央にこぼれたところを拾った三原雅俊が再び右のオルンガへ。これを狙い済まして左足でゴール左隅に流し込んだのだ。
そうなると、ここからは鹿島の大逆襲のターン。荒木遼太郎、土居聖真、上田綺世、遠藤康を次々に投入、攻撃の圧力を強めていく。これが実ったのが72分で、左サイドの永戸のクロスがこぼれたところを、中央から三竿健斗が左足で蹴り込んで同点とした。
さらに鹿島が攻勢に出るが、それをあざ笑うかのように決めたのがオルンガだった。84分に左右にボールを振って揺さぶると、最後はオルンガが左足で強烈にゴールを撃ち抜いて、またもリードを奪った。
だが、さすがに1人少ない時間が長い柏の選手の足が止まって、最後の最後で逆転を許してしまう。土居の連続ゴールも、空いたサイドのスペースを使われてクロスを止めきれなかったことが要因だった。
鹿島のザーゴ監督は現役時代を過ごしたスタジアムでの勝利に「全員で勝った」と笑顔。「相手は週中に試合がなかったので、こちらは普段以上に全員で戦わなければならないと強調していた」とリードされても落ち着いてプレーした選手全員を称えた。敗れた柏のネルシーニョ監督も同じように「選手に感謝を伝えた」と話した。「前半の時点で2人がケガ、1人が退場となり、不利な状況が続いた。結果は出なかったが、敗戦から勝ち得たものは大きかった」と戦い抜いた選手に敬意を評した。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE