明治安田生命J1リーグの第12節湘南ベルマーレ戦で、FC東京の長谷川健太監督は2人の若手をJ1初先発させた。右サイドバックの中村拓海とMF品田愛斗だが、この起用でミッドフィールドが激戦区になることを望んでいる。

上写真=連戦では選手起用の幅を広げるのも長谷川監督の希望だ(写真◎FC東京)

小笠原満男のように

 湘南ベルマーレ戦でJ1初先発、しかもフル出場した品田愛斗はFC東京のアカデミー出身。長谷川健太監督はトップに昇格した頃から「技術が高くて周りが見えている」と高く評価していたという。

「それこそ鹿島で活躍した小笠原満男のようなタイプの選手になってくれればなと。プレースタイルが同じかは分かりませんが、広い視野で周りを生かしながらハードワークできる選手として、それだけの素材であることは感じています。順調に育ってくれれば」

 鹿島アントラーズの黄金世代の中心として数々のタイトルを獲得し、日本代表でも活躍したレジェンドにその姿を投影するとは、期待の大きさがうかがい知れる。

 実は2019年にルヴァンカップで起用したときに、一つのミスを引きずってしまって持ち味を生かせなくなったことがネックになっていた。「そこが愛斗が克服しなければいけないこと」と伝えてきて、「今年は練習で意欲的に取り組んできていて、練習試合ではパフォーマンスは悪くなかったんです。実際の試合でどこまでやれるか、ミスしても続けられるかという段階に来ていると感じていた」ことで、このタイミングでの起用になったという。

 その結果、90分フル出場。「彼の自信になったと思うし、今後も自信を持ってプレーしてほしい」と期待を隠さない。

 FC東京は今季、4-3-3のアンカーシステムを採用し、橋本拳人をアンカーに据えてトライを重ねてきた。その橋本が移籍、キャプテンの東慶悟が負傷するなど紆余曲折もありながら、高萩洋次郎をアンカーに、インサイドハーフにアルトゥール・シルバと安部柊斗を並べるスタイルで安定してきた。だが、超連戦のすべてでこの3人のミッドフィールドを機能させるのは難しい。次は、彼らのバックアップのレベルを上げることが急務になってくる。

 その一人が、品田なのだ。

「アンカーというポジションは経験が必要なので、簡単に(高萩)洋次郎の域に達するとは思いませんが、1試合を通してプレーできたことでいろいろな経験ができたと思います。それを生かして、中盤のどのポジションでもできるようになってほしい」

 アンカーに限らずインサイドハーフでも、ボックス型の中盤のボランチやサイドハーフでも、というのが長谷川監督のリクエストだ。

 品田に限らず、同じく湘南戦で先発した三田啓貴のほか、内田宅哉、紺野和也らももちろん「次の場所」を狙っている。森重真人と渡辺剛のセンターバック、永井謙佑、ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロの3トップ、交代出場が多いが存在感抜群のアダイウトンが主力として構えているだけに、このミッドフィールドの構成やパフォーマンスが、FC東京の浮沈の鍵を握っていると言えるかもしれない。


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