上写真=8月21日のトレーニング中の遠藤康(写真◎鹿島アントラーズ)
「チームのことで頭がいっぱい」
「それが分かったら、ゴールは入っているんですよね。でも、それが分からないから、サッカーって面白いわけで。なんか、きれいな形じゃなくても、どんな形でも、点が入ればドバっと入るときもある。どれだけきれいに崩しても、どれだけシュートを打っても、入らないときもある」
前々日のJ1第11節横浜FC戦で完封負け。記者から「フィニッシュにおいて足りないものは?」と問われ、遠藤康はそのように言葉を返した。
「負けるべくして負けた試合というのはないと思うし、勝てる試合のほうが多かった」と、最近の試合についても振り返る。その中でも、「特にこのあいだの(横浜FC戦の)負けなんて、絶対にしてはいけない負け方だった」と、シュート数で相手の3本を大きく上回る13本を記録しながらも、勝ち点1すらつかめない結果を猛省した。
だからこそ、23日に迎えるG大阪戦は、是が非でも結果を出したい一戦となる。勝ち点1では足りない。「とにかく勝ち点3が欲しい」と話す。
G大阪には、かつて共に戦ったDF昌子源も在籍する。「特に源ね。あれだけいい選手がガンバに入ったので、ガンバは昨年よりもさらに強くなっていると思う」と相手を警戒するも、昌子が相手になるからと言って、特別な思いは抱いていないという。「うちは今いるセンターバックもみんな良い選手なので、そういう意味では負けられない試合かなとは思っています」。
また、取材対応の前日には、内田篤人の現役引退が発表された。遠藤にとって1学年上の先輩であり、長きにわたって鹿島アントラーズを引っ張る盟友でもある。「このタイミングで(引退を)言うのも、ウッチー(内田)らしいなと。ウッチーのやることは正しいと、僕は思っているので」。そのように笑みをまじえながら話した。遠藤はいつも、内田の意思を尊重しているようだ。32歳という年齢で、シーズン途中にスパイクを脱ぐ決断をしたとしても。ただ、G大阪戦がラストマッチとなる内田の花道を飾りたいから、「勝ち点3が欲しい」わけではないという。
「とりあえずウッチーの引退については、僕はあまり(特別な思いが)ないんですよね(笑)。これが最終節とかだったら、またちょっと違うけれど、シーズンの途中だし、チームもまだ出来上がっていない。不安定な時期でもあるので、内田さんのことより、まずはチームのことで頭がいっぱいという感じです」
遠藤が話す通り、昌子のG大阪が相手だろうが、その一戦が内田にとっての最後の試合になろうが、そういった感情的な意味合いはないのかもしれない。次の試合は全34試合もあるJ1リーグにおいての第12節。リーグ中盤戦でチームを軌道に乗せるためにも、「とにかく勝ち点3が欲しい」のだろう。でも、結果的に勝利を得られたならば、内田の花道を飾ることになるし、強敵を倒したことでチームの自信もより大きくなるだろう。
一つの勝利がもたらすものは、決して一つだけではない。長年、鹿島で勝利を重ねる遠藤だからこそ、1勝の重みを熟知する。遠藤にとって、鹿島にとって、G大阪戦は必勝を期する一戦となる。