8月12日のルヴァンカップ、サンフレッチェ広島対サガン鳥栖の中止を受けて、Jリーグの村井満チェアマンと両クラブの社長が緊急会見。中止に至る過程のほか、今後の日程変更の可能性も明かされた。

「いままでと比べると非常に多い」

 1時間以上に及んだ会見では、報道陣から多くの質問が飛んだ。最大9人の感染となるとクラスター(感染者の集団)の可能性が高まるが、村井チェアマンは「現段階では可能性だが、いままでの発症ケースと比べると非常に多い」としながらも「クラスターの扱いになるかの判断も、保健所の指導・指示に従う形で対応していくことになる」と、あくまで保健所の判断を待つとした。

 一方で村井チェアマンは、今後の試合日程も変更となる可能性に言及した。

 鳥栖は15日のJ1第10節でガンバ大阪、19日の第11節でベガルタ仙台、23日の第12節で北海道コンサドーレ札幌と対戦する。対戦相手の不安、今後の日程への影響について問われた村井チェアマンは「今後の日程は過密だが、試合開催ありきではなく、しっかり指導・助言を元に今後の対応を練っていきたい。鳥栖の竹原社長とも目線を合わせており、今回の中止に限らず、今後の日程も再考する可能性があると鳥栖、Jリーグともに認識している」と明言。ただし「いまの段階で我々が決める立場にない。行政当局の指導に従うことを前提に考えている」と、保健所の判断待ちであると付け加えた。

 金監督は9日夜に38・0度の発熱がありながらも、10日朝の体温が36・4度まで下がったことで練習に参加したが、結果的に当日に陽性判定となり、感染が広がりを見せている。村井チェアマンは「感染防止が非常に難しいと、あらためて認識している」とした上で、Jリーグが定めているガイドラインを改定する可能性について「全く症状がない人を予見するための変更は非常に難しいと考えている。公式の定期検査をしっかりやっていくこと、日常の行動管理という原理原則に戻る」と説明。さらに「これ以上の対策については、PCR検査の頻度を上げていくのか、何がしかの症状が出たら、1日でも熱が出たら検査を受けなければいけないような形にするなど、専門家の助言を受けながら対応していくことになる」との認識を示した。
 
 鳥栖は朝の検温は第3者が行なうチェック体制を敷いていたと説明したが、自覚症状を原則的に自己申告で管理することの難しさを指摘する質問や、高熱が出た後に練習に参加した金監督の行動を疑問視する質問もあった。これについて村井チェアマンは「定期検査で陰性で、熱がなくても、自覚症状を個人の自覚のみに依存してしまうと、恣意的なブラックボックスができる可能性がある」と認めつつ、「第3者が何か客観的な事象で(選手やスタッフの活動を)ストップできる明確な仕組みは現状、明確なものはない。それに代わるものが構築できるか、悩みどころ」と吐露した。

「外から見て明らかにおかしいと分かるように検査の頻度を上げていくか、行動記録を細かくして、それをヘルスケア専門の担当者が見てカウンセリングのレベルを上げていくようなアプローチでしょうか」と解決策について述べた村井チェアマンは「いずれにしても、まだジャスト・アイディア。外形的な基準がない中で、どうやって健康管理を進めていくかは引き続き、大きな宿題」と続けた。いずれにしても、ウィズコロナの時代のJリーグの運営が様々な点において難しいことが、あらためて浮き彫りになったと言えるだろう。


This article is a sponsored article by
''.