8月8日、明治安田生命J1リーグは第9節が開催され、サガン鳥栖は鹿島アントラーズとアウェーで対戦。後半に2失点して敗れ、リーグ戦連勝はならなかった。この一戦ではサガン鳥栖U-18に在籍する2種登録のDF中野伸哉が左サイドバックでJ1初先発した。

上写真=16歳でJ1初スタメンとなったDF中野(写真◎J.LEAGUE)

■2020年8月8日 J1リーグ第9節(@カシマ:観衆3,913人)
鹿島 2-0 鳥栖
得点:(鹿)和泉竜司、エヴェラウド
   (鳥)なし

金明輝監督「16歳という目では見ていない」

 鳥栖のトップチームに2種登録されているDF中野伸哉が、スターティングメンバーに名を連ねた。J1歴代2番目となる16歳の若さで先発出場。「16歳だとか、そういう目では見ていない。彼の守備のスピード、攻撃時のしっかりと落ち着いた、技術のあるプレーだったり、十分にできるんじゃないかと思い送り出しました」と期待を込めるのは金明輝監督。1週間後の8月17日に17歳の誕生日を迎える高校2年生は、「前日練習から『先発で行く』と言われていたので、心の準備はできていました」と、左サイドバックの位置で堂々としたプレーを見せた。

 対峙した鹿島のMF土居聖真に対しては、「すごくうまいので、対応しづらかった。捕まえづらいという感じでした」と手を焼いた。「攻撃ではクロスとかをまったく上げられなくて、守備ばかりになってしまった。もっともっと仕掛けて、クロスを上げたりしていきたい」と反省しきり。それでも、セットプレーのキッカーを任されるなど、随所で存在感を放った。指揮官は「実際に(良いプレーが)できていたと思う。結果、負けてしまうと何も生まないというか、プロの世界なので、そういう部分はありますけれど、彼が試合に出て自信になったかは分かりませんが、しっかりと次につながっていくのではないか」とプレーぶりを称えた。

 鳥栖U-18では、高校1年生の昨年度から頭角を現していた。高円宮杯プリンスリーグ九州で試合に出続け、昨夏の日本クラブユース選手権では決勝までの全7試合に先発し、準優勝の成績を収めた。U-17日本代表でも活躍し、昨秋のU-17ワールドカップでも不動のレギュラーとしてベスト16入りに貢献した。「自分が昨年、一番成長できたと思っているのは、U-17ワールドカップでいろいろな相手と対峙して世界を知れたこと」。成長曲線は右肩上がり。ついに今年6月、トップチームに2種登録された。

 前節のFC東京戦で初出場。3日前のルヴァンカップも戦い、3試合連続でピッチに立った。この日は後半32分に鳥栖アカデミーの先輩でもあるDF大畑歩夢と交代したが、成長著しい中野は課題と向き合いながら、さらなる試合出場機会を求める。

「攻撃の練習をしたり、守備ならば対人の部分をもっと上げていきたい。攻守に貢献できるようにやっていき、また先発で出られるようにもっと頑張っていきたいと思います」

 鳥栖が育む左サイドバックの才能は、これからますます伸びていくこととなりそうだ。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE


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