上写真=川崎Fのアカデミーで育ち、今季でプロ4年目のMF田中(写真◎Getty Images)
上向きの成長曲線
公式戦全勝を飾った7月を振り返り、「個人としてのプレーは満足していないけど、チームとして良い状態で来ているので、楽しくやれています」と語った田中。連戦のなかで5試合に出場し、そのうち4試合はフル出場を果たしたが「体的にはすごく良い状態」と、若さの特権を享受している。
今季任される4-3-3のアンカーは、チームの成績を左右する重要なポジション。レギュラー組では最年少となるが、試合が始まると大声を張り上げて先輩たちに指示を送る。「今年からフォーメーションが変わって、サッカーも変わって、今までとは違う課題を感じているので、そういうものを一つずつ克服できれば、よりレベルの高い選手になれると思う」。新しいチャレンジに前向きに取り組んでいる。
大きく飛躍したプロ3年目の昨季、リーグ戦で自己最多となる24試合に出場し、ベストヤングプレーヤー賞を受賞した。東京五輪に出場する年代別代表にも定着し、U-22ブラジル代表戦ではミドルシュートで2得点を奪って勝利に貢献。日本サッカー協会の反町康治技術委員長は、同じく東京五輪世代の久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)、冨安健洋(ボローニャ)らとともに田中の名前を挙げ、将来のA代表の中心を担っていくことに期待を寄せる。
本人も「目指しているのはA代表」ときっぱり。ただ「そこに入るにはもっと自分のクオリティーを上げていかないといけない」と一切慢心はない。次節はガンバ大阪との首位攻防戦。いまは今季最初の大一番に気持ちを集中させている。「ここからが本当の戦い。今までの結果は忘れて、次の試合に全力で挑むことが大事」。落ち着いた口調で、チームの中心としての自覚をにじませた。