上写真=2試合連続無失点の名古屋。フィッカデンティ監督の哲学が浸透してきた(写真◎J.LEAGUE)
押し込んで支配したい
再開後は3勝1分けで勝ち点10を稼いでいる名古屋グランパス。ここ2試合はクリーンシートを続けていて、攻撃のバリエーションも豊富で、つまり、非常に調子がいい。
オンライン会見に臨んだマッシモ・フィッカデンティ監督は、表情こそ変えないものの、コメントの端々から現在のチーム状況に大きな自信を持っていることをうかがわせた。
中でも、連戦の最中ではリペアの部分に重きを置いているようだ。
「勝ち続けている中で課題を見つけて取り組んでいます。直すところ、できているところをしっかり見ています」
限られたトレーニングの時間を有効に活用するのも監督としての手腕の一つだが、フィッカデンティ監督の工夫は「説明」の部分にある。
「フィジカル面でシーズン中に追い込みながらといった量のトレーニングはできませんから、説明を中心にしたメニューにしています。試合翌日は、実際の試合で後ろでボールを回しながらここまでは行けるけれどもどこで詰まったのか、それを実際にグラウンドで人を配置して課題になった部分を止まった状態で説明していくのです。同じ失敗を持ち越さないようにできていると思います」
問題を「再現」することによって具体的に可視化して、課題克服の質を上げていこうというわけだ。修正点は多岐に渡るが、目的は一つ。「スイッチを入れたいときに、こちらの流れに持っていくこと。狙い通りにできていると思うし、勝つ確率を上げる作業は常に取り組みたい」。自分たちの意志の力で主導権を持ち続けて戦うことだ。
それは次の大分トリニータ戦でも変わらない。
「今年、どういうサッカーをやりたいかの話になりますが、押し込んで支配したい、こちらのペースで長い時間プレーしたい、それが今年の取り組みですので、なるべくそういう試合になるようにしていくということです。もちろん、相手の戦い方に対応する準備もしています。しかし、あくまでこちらの展開になるようにはめ込んでいくし、私たちがやりたい試合をして、勝ちたいように勝つということです」
「ここのところ、いい内容でサッカーができている感覚があるので、あまり細かい戦術的なことを勝負のポイントにするよりも、気持ちの面で相手を飲み込むこと、そして絶対に間違った入り方をしないことを、いまの状態では監督として作業しなければいけないと思っています」
迎え撃つ大分の片野坂知宏監督は戦略家だ。名古屋をどう封じるか、綿密にデザインしているだろう。それを、名古屋の、フィッカデンティ監督の自信がどう打ち破るのか。興味深い一戦だ。