7月18日、明治安田生命J1リーグは第5節が開催され、鹿島アントラーズが横浜F・マリノスに快勝。今季初勝利を手にした。2ゴールを挙げる活躍を見せたのはFW上田綺世。ザーゴ監督から今季初先発に指名されたストライカーが、チームに勝利をもたらした。

上写真=2得点を決め、勝利の立役者となった上田。試合後、スタンドのサポーターに手を振る(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月18日 J1リーグ第5節(@カシマ)
鹿島 4-2 横浜FM
得点:(鹿)上田綺世2、エヴェラウド、白崎凌兵
   (横)マルコス・ジュニオール2

「僕が拍手したいくらいです」

 後半35分、カシマスタジアムを万雷の拍手が包んだ。選手交代ボードに記されていたのは「36」。この日のヒーローが、交代でピッチを去った。

「欲を言えば、90分間出て、もう1点取りたかったけれど、今日の試合展開と僕のパフォーマンス的には、(交代は)あのタイミングだったのかなと思います」

 一週間前のJ1第4節浦和戦まで、公式戦全敗。その間、奪った得点はオウンゴールの1点のみと、鹿島は「常勝軍団」の姿を失いつつあった。そんな中で迎えた昨季のJ1王者との一戦。今季初めて先発のピッチへ送り出されたFW上田綺世が、トンネルをさまようチームに光を差した。

 まずは試合開始早々の前半4分、左サイドのエヴェラウドからのクロスをファーサイドで受け、右足を振り抜いた。今季のこれまでの試合では得点者の欄に鹿島の選手の名は記されていなかったが、この日初めて「上田綺世」の文字が刻まれた。

「試合前にエヴェラウドから、『自分が縦に突破したときは必ずファー(サイド)に膨らめ』という指示をもらっていた。その通りにエヴェ(エヴェラウド)を信じて、ファー(サイド)に膨らんだところに良いボールが上がってきたので、あとは決めるだけでした。ゴールを常に意識していたので、そういったポジションを咄嗟に取れたのかなと思います」

 さらに、同点で迎えた後半13分、再び上田がゴールネットを揺らした。右サイドのDF広瀬陸斗からグラウンダーのクロスが送られると、体勢を崩しながら右足のアウトサイドでボールをとらえた。

「ワンタッチゴールは、僕の得意なゴールパターン。あのようなゴールを増やしていければ、量産もできると思います。チームメイトに要求して、次の試合や、その先もああいった(クロス)ボールを出してもらえるように、日々のトレーニングからやっていきたい」

 その後、エヴェラウドと白崎凌兵も続き、4-2で横浜FMから今季初勝利を挙げた。ピッチ上の選手やベンチのスタッフだけでなく、悪天候の中、新型コロナウイルスの感染予防対策に努めてスタンドに詰めかけた3090人のサポーターも歓喜した。

「僕自身、今シーズン初めてのホーム(ゲーム)だったので、モチベーションを高く持てました。アップのときから多くのサポーターの方々を見て、やはりモチベーションは上がります。3090人の方々が見に来てくれている…。それもコロナ(感染)だったり、リスクはあると思うんですけれど、そのリスクを負ってでも見に来てくれることに、僕は感動しました」

 今季は1月28日のAFCチャンピオンズリーグ・プレーオフこそ、観客を入れたホームゲームが開催されたものの、その後はアウェー戦が続いた。公式戦再開後はJ1第3節(7月8日)の札幌戦がホームゲームだったが、無観客試合(リモートマッチ)となっていた。新型コロナウイルス禍では、常にウイルス感染リスクがつきまとう。横浜FM戦も、入場者数上限「5000人以下」と制限が設けられた。その状況下でもカシマスタジアムへ足を運んだサポーターへ、上田はゴールと勝利を捧げたかった。

「だから、僕らも勝利を届けたい気持ちはすごくありました。僕が(サポーターに)拍手したいくらいです。(交代の際)多くのサポーターの方々が拍手で送ってくれたので、また次の試合も勝利を届けられるように頑張りたいと思います」

 自身のゴールでチームの連敗を止めたストライカーは、常にファン・サポーターの思いを背負いながら戦っている。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE


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