7月18日、明治安田生命J1リーグ第5節が開催された。柏は再開後3連敗、湘南は今季未勝利と、ともに勝利が欲しい状況で行なわれた対戦は、前節からメンバーを大幅に入れ替えた柏が3-2で勝利を飾り、連敗脱出に成功した。

上写真=神谷のクロスにオルンガが飛び込み、柏が先制点を挙げた(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月18日 J1リーグ第5節(@三協F柏:観衆2,645人)
柏 3-2 湘南
得点:(柏)オルンガ2、仲間隼人
   (湘)松田天馬、石原直樹

・柏メンバー◎GK中村航輔、DF 古賀太陽、高橋祐治、大南拓磨、三丸拡、MFヒシャルジソン、大谷秀和(81分:三原雅俊)、神谷優太、仲間隼斗、江坂任(76分:呉屋大翔)、FWオルンガ

・湘南メンバー◎GK富居大樹、DF大野和成、坂圭祐、岡本拓也(84分:指宿洋史)、MF石原広教(46分:古林将太)、齊藤未月、茨田陽生(46分:金子大毅)、松田天馬、鈴木冬一、FWタリク(59分:石原直樹)、中川寛斗(77分:山田直輝)

チームの流れを変える必要があった

 この日の柏は前節、完敗した川崎フロンターレ戦から守備陣の顔ぶれを一新した。GKはキム・スンギュから中村に代わり、4バックも左サイドバックから右へとポジションを変えた古賀を残して、2人のCBを染谷悠太から高橋へ、鎌田次郎から大南へとそれぞれ変更。さらに左サイドバックは三丸が務めた。さらに中盤も戸嶋祥郎に代わって大谷が先発している。

 果たして連敗脱出を期したこの変更は、見事に奏功する。走力を前面に出して縦を突いてくる湘南に対して、組織立った守備で対応。球際でも一歩も引かない激しさを見せ、縦パスに対しては受け手の背後にピタリと寄せた。一方で相手の前線からのプレスにあわてず騒がず、しっかりとボールをつないで攻撃を形づくっていく。柏本来の持ち味であるボール奪取後の縦への推進力も取り戻し、守備の安定は攻撃のリズムを生んでいった。

 ネルシーニョ監督は川崎F戦にボール奪取後の選択に関して苦言を呈していたが、この日はほぼミスがなく、守備から攻撃の切り替えもスムーズに行なわれた。前向きの守備でボールを奪い、その勢いを駆ってカウンターを繰り出す。そのたびにスタンドに『帰ってきた』2,645人のサポーターから大きな拍手が沸き起こった。その拍手の大きさと量が、柏のアグレッシブな戦いぶりを示していた。

 1点目はCKの流れからオルンガがヘッドで決め、2点目はエリア内で仲間が倒されて獲得したPKをオルンガが決めた。いずれも純然たるオープンプレーではなかったものの、そこに至る過程はチームの狙いどおりだった。幅を使った攻撃と、相手の陣形が整う前に仕掛けるカウンター、オルンガの高さと強さを生かす攻め。チームの持ち味が出ていた。

 ただ、その勢いのまま柏が押し切るほど湘南は甘い相手ではなかった。後半開始から選手を代えて積極的な攻めに出る。63分には右から左へのサイドチェンジで柏の守備陣を揺さぶり、途中出場の石原直のヘディングのこぼれを松田が押し込んだ。

 ここ3試合の柏なら、湘南の勢いをまともに受けてしまったかもしれない。しかし、この日は違った。70分、今季、10年ぶりに古巣に帰還した柏のアカデミー出身の仲間が決定的なゴールを決める。エリア右の神谷からの浮き球パスを胸トラップで処理すると、右足を一閃。強烈なシュートを叩き込んだ。

「後半はだいぶ相手の足も止まってわれわれのもPA内に入っていくようになったが、結局、2-1になったときの3失点目が痛かった」と湘南の浮嶋敏監督も悔やんだ一発。その後、83分に左CKから石原直が右足を合わせてネットを揺らしたが、仲間の一発が決勝点となり、柏が連敗脱出に成功した。

「今日の試合はわれわにとっては大事だった。3試合結果が出ていない中で、何かチームの流れを変える必要があると思っていた。われわれには変化が必要で、だからメンバーも変えた。苦しい時間もあったが、われわれに求められていたのは、勝利。この勝利が今後の戦いを進めていく上で、いい勢いをもたらしてくれると思う」

 ネルシーニョ監督は勝ち切った選手たちを評価し、この1勝の意味を語った。中村、高橋、大南、三丸、仲間らを今季リーグ戦で初先発させた指揮官は、事も無げに言ったが、変化の必要性を感じ、すぐに変化を起こしてみせる手腕は、さすが。アグレッシブさを取り戻した柏は次節、中3日で浦和戦と対戦する。

現地取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE


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