上写真=長谷川監督は「制限解除」で選手たちのパワーを引き出した(写真◎FC東京)
「やっぱりいこうよ」
3勝1敗という状態で、浦和レッズ戦である。相手は3勝1分け。拮抗している。
浦和には分が悪い。12試合連続で勝ちがなく(0勝4分け8敗)、ホームでは6試合連続勝利がない。だから、長谷川健太監督は「浦和に勝つためにすべてをぶつけられるか」と集中して臨むのだ。
実は監督には少しの反省があって、それがチームマネジメントの部分。3節で川崎フロンターレに0-4と大敗した原因の一つに、こんなことを挙げている。
「私自身が選手たちを抑え気味にスタートさせてしまったなと思っています。(連戦を考慮して)手綱を引くような感じで自重させながらうまく戦えれば、と思った川崎戦でそれがもろに出てしまって完敗してしまいました。それで、『やっぱりいこうよ』ということで、チーム全体で負けたことによって目が覚めました。とにかく飛ばせるところまで飛ばしていこうと」
連戦でケガの危険性と隣り合わせの状況では、抑えながら、という選択もよく分かる。でも、そこでガツンと4失点を食らったことで、リミッターを外したのだ。その結果、昨季、最終節で逆転で優勝をさらわれた因縁の横浜F・マリノスには、3-1という快勝を収めた。
飛ばすところは飛ばす、というメンタルの部分については、次の浦和戦へこんなポイントを挙げている。
「緊張感から少し解放された中で、厳しいゲームになると思います。しっかりとゲームの入りができるかがポイントです。(川崎Fに)負けたあとマリノスに勝って、少し休んで浦和戦、という中で、準備はしっかりできたと思っていますが、入りの部分でぱっといけるかどうかですね」。一拍置いたあとの試合になるので、中途半端な形で試合を始めると痛い目にあう。横浜FM戦でも4分に先制ゴールを浴びたばかりなのだ。
プレーの面でもいくつか注意点を明かす。
「守備のところは、興梠(慎三)、レオナルドと一瞬でも気を抜けば……いや、気を抜かなくてもスキを突いてくるだけの個のタレントがいますから、そのゴール前の対応の部分ですね。もう一つは、セットプレーで山中(亮輔)のキックの精度にも気をつけなければいけません」
セットプレーは、FC東京にとっても大きな武器だ。柏レイソル戦では右CKからゴールが生まれているし、横浜FM戦ではレアンドロが直接、決めている。
「コーチングスタッフが考えて対応してくれています。去年前半はセットプレーでなかなか点が取れなくて、いろんなアプローチを考えてキッカーのクオリティーを上げるように頑張ってくれました。今年はレアンドロが入ってきたし、小川(諒也)のキック、東(慶悟)の精度、紺野(和也)や三田(啓貴)などキッカーのバラエティーに富んでいます。昨季より得点力を上げるにはセットプレーでの上積みも大事ですから、選手も意欲的に取り組んでくれて、その成果が出ていると思います」
FC東京にとってこの浦和戦は、制限付きながらも味の素スタジアムで今季初めてファン・サポーターを前にして戦う試合だ。
「ホームでお客さんが入る最初のゲームです。その意味で、緊張感のある中で熱い声援を受けながら、きりっと試合に入ってくれると思います」
リミッターを切った青赤軍団は、キックオフの瞬間から飛ばしていく。