7月8日、明治安田生命J1リーグ第3節で横浜F・マリノスは湘南ベルマーレと対戦した。逆転勝利への道を切り拓いたのは、「帰ってきたレフティー」だった。

上写真=5月にチームに復帰したMF天野。湘南戦でゴールを決めて喜ぶ(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月8日 J1リーグ第3節(@ニッパツ)
横浜FM 3-2湘南
得点:(横)天野純2、オナイウ阿道
   (湘)中川寛斗、鈴木冬一

J1では586日ぶりゴール

 鮮やかなゴールだった。同点で迎えた77分、天野純はゴール前にパスを送ると、足を止めずにゴールへ向かった。エジガル・ジュニオから戻ってきたボールを受けると、相手DF2人をひらひらとかわす。さらに目の前に投げ出される足とGKの下を抜くシュート。逆転ゴールが決まった。

 昨季にベルギー2部のロケレンへ期限付き移籍したものの、クラブの破産で失意の帰国を余儀なくされた。だが、横浜FMとしては中断期間中のサプライズ補強。リーグ再開初戦となった浦和レッズ戦では、トップ下として先発出場を果たしている。

 ただし浦和戦では、チーム同様に目に見える結果を出すことができなかった。中3日での連戦となるこの試合ではベンチスタートとなったが、「今日はサブの選手がいいアップというか、準備が皆でできていたし、『サブの選手が流れを変える』『5人の枠がある』と盛り上げてやっていた」と天野。心も体も、十分に温まっていた。

 63分に3人同時交代の1人として中盤の底に入ると、思いを体現する。中盤中央から左に流れつつ、「(オナイウ)阿道と(水沼)宏太君がいるのが見えたので、アーリー気味にしたけど、GKが前に出ていたので、その辺りに」と得意の左足を振るう。するとボールは、ゴール前、さらには湘南GKが伸ばした手を越えて、ゴールへと吸い込まれた。「風も強く、うまくゴールまで流れてくれて点が入ったのでよかったと思う」。コメントも軽やかだった。

 そして前述の2点目。「ペナルティーエリア内に侵入していく部分は、去年も含めて自分にはそれほど多くない形だった。そこで決め切れたのは、成長した部分を見せられたかと思う」。この日の天野の前には、誰も反論の言葉を持ち得ない。

 シーズン途中で欧州へ渡った昨季は、リーグ戦18試合で得点はなかった。2018年最終節以来のJ1でのゴール。その後に追いつかれたが、終了間際に同時に交代出場したオナイウが頭で決勝点をマーク。横浜FMの今季初勝利に、今季出場2試合目の天野が、大きく大きく貢献した。

「こういうプレーをスタートから出てできればいいけど、交代枠5人という中で、サブも含めて全員で試合を決めることがこの先多くなるので、それを示せたいい試合だったと思う」

 最後の最後まで、説得力あるコメント。頼もしい選手が帰ってきた。

取材◎杉山 孝 写真◎J.LEAGUE


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