7月4日のJ1再開は、柏レイソルが相手。アウェーに乗り込むFC東京の長谷川健太監督にとっても楽しみな一戦だという。尊敬するネルシーニョ監督が率いるチームを相手に、首都のクラブとして喜びと感謝を示すために、特別な90分になりそうだ。

上写真=再開初戦の柏戦のポイントを語った長谷川監督(写真◎FC東京)

最上級のリスペクト

「首都のクラブ」としての責任もあるだろう。再開前日の7月3日も東京都内の新型コロナウイルス感染者が120人を超えるという事態に、慎重な姿勢も崩せないだろう。FC東京の長谷川監督はだから、こう話す。

「サッカーができる、試合をやれるという喜びと感謝を、チーム一同が明日のゲームで見せることが、見てくれる人に誠意というかパワーを送ることになると思います」

 いよいよ再開が迫ったJ1リーグ。長谷川監督はその前日の練習後に、苦しむ社会に貢献するためにそう言った。喜びと感謝を示すために戦う相手は、ネルシーニョ監督率いる柏レイソルだ。

「ネルシーニョさんは非常に尊敬すべき監督という存在です。清水やガンバの監督時代から、なんとしても勝ちたいと思って戦ってきました。ソリッドな、勝利にこだわったチームを作る監督です」

 まずは敵将へ最上級のリスペクトを送ったわけだが、とはいえ分析は冷静だ。

「ネルシーニョ監督のサッカーはずっと変わらないと思いますし、柏自体も昨シーズンに昇格してからメンバーもほぼ変わっていないですし、新加入の選手もJリーグで戦っていた選手です。選手がまったく分からないとか、監督の哲学がまったく分からないわけではありません。プライドを持って戦ってくるチームだと思っていますので、再開初戦だからといって何かいろいろなことを仕掛けてくる感じはないのかなと感じています。『ネルシーニョ監督の柏レイソル』という点では変わらないと思っています」

 試合前日の場外戦、である。

「私も楽しみです」

このゲームはアウェーでの対戦。三共フロンテア柏サッカー場には特有の条件があるという。

「再開初戦で、日立台という専用スタジアムなので、独特の雰囲気、環境の中での試合になります。柏の開幕戦となった札幌戦の先制点もそうだったのですが、スローインを早く行ってからのものでした。ボールが出てもすぐ看板に跳ね返ったり、スタッフがすぐに次のボールを出してきます。味スタとはピッチ以外のサイズが違ってくるので、ボールがデッドになった後の集中力をしっかりしないといけないと思っています」

 その札幌戦、13分の江坂任のゴールは確かに素早かった。クリスチアーノが右サイドからのスローインを素早く行ってオルンガが中央へ、受けた江坂が左にドリブルして流し込んだもので、その間、およそ9秒。このスピード感を警戒している。

 もう一つのチェックポイントは、ラスト15分の戦い方。選手交代が従来の3人から5人まで認められるようになったことが影響しそうだ。

「(交代カードの切り方は)いろいろ考えていますけど、試合の流れによってカードを切っていくしかないと、いまはそう思っています。こちらの方で変にカードを切っていって墓穴を掘るようなことがないように、試合の流れをしっかり見て的確に交代を使えるかどうかだと思っています」

 基本的な考え方はこれまでと変わらない。ただし、変化が起こる可能性も視野に入れている。

「残り15分の戦いが激しくなると思っています。残り15分でフレッシュな選手を、もしかしたら5人全員入れる展開になるかもしれない。暑さの中の連戦で、普通の状態でも終盤の15分に得点が入りやすいですし、加えてもし両チームで合わせて10人が一気に代わることになると、アグレッシブな展開になりそうですね。リードしていてもされていても、最後の15分の攻防はこれまでより激しくなると思います」

 10人が一気に変わるのは極端だとしても、その可能性も考慮に入れて準備している、ということだ。

「久しぶりの試合ということで、選手同様に我々コーチングスタッフにも期待と不安の気持ちがありますが、試合ができるという楽しみのほうが上回っています。選手たちがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、私も楽しみです」

 昨季、悔しくも逃した「一番高いところ」へ。FC東京が新たなスタートを切る。


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