上写真=プロとして1年目のシーズンに臨んでいる松尾。あの快足がまもなくピッチで見られる(写真◎スクリーンショット)
チーム内での個々のタスクが少し変わった
昨季も特別指定選手としてJ2で21試合出場6得点という成績を残しているとはいえ、
晴れてプロ選手となった「ルーキーイヤー」に中断で出鼻をくじかれた格好だ。しかし、松尾は自粛期間に「感じるものが多かった」と語る。プレーできない時間を、うまくプラスに転換したという。
「1、2週間はサッカーのことをあまり考えない時間を自分の中でつくって、またサッカーをしたいという欲が自分の中で出るまで待ってみたり、工夫しました。再開したときにいいモチベーションで迎えられるように、ということは本当に意識しましたね」
さらに、意外な『トレーニング』も開始したという。足が動かせないかわりに、指を動かすようにしたというのだ。導入した器具は、ピアノである。
これまで弾いたことはなかったが、「普段だったら絶対にやらないようなこと」に取り組んでみようと、鍵盤の前に座った。
「最初は指が全然動かなかったんですけど、ちょっとやっていたらだんだん思うように動いてきて。1日1時間くらいやっていて、ちょっとハマっているような状態になっています」
ピッチ上でも、新しい自分を見せるつもりだ。この中断期間に、チームはプレースタイルに少し変化を加えているという。
チームとして体を動かすことができない時間が続いたが、オンラインミーティングのおかげで「頭の整理はチームとして絶対的に統一できていたと思うので、(全体練習)再開後にすんなり戦術を確認できたり、すんなり練習に入れたというイメージはある」と松尾。自身も「個々のチーム内でのタスクが少しずつ変わってきている。それに選手がどうマッチしていくのかもそうだし、その中で個人の特徴をどう出すかによって、選手によっていろいろな魅力があるので攻撃が多彩になると思うので本当に楽しみだし、それがJ1でどれくらい通用するのか僕自身試してみたい」と意欲を燃やす。
2年目のルーキーは、改めて気持ちを引き締める。
「去年はチームに助けられていた部分が大きいので、チームの中で存在感を放っていきたいという思いがあります。もう少し自覚を持って、チームを引っ張っていく一人になれるように本当に努力したい。そういう気持ちの部分の変化があるので、自分自身にもう少し期待してもいいのかなと思います」
リーグ再開後の横浜FCと松尾に注目だ。
取材◎杉山 孝