J1の鹿島は10日、チーム全体のトレーニングを行ない、シーズン再開への準備を進めた。今季加入したDF永戸勝也にとっては移籍初年度のリーグ中断で出鼻をくじかれた格好だが、くじけずに前を向けるだけの『財産』がある。
上写真=再開に向けてトレーニングに励む、今季加入の永戸(写真◎鹿島アントラーズ)
ケガの離脱のほうがつらい
永戸は今季、3シーズンを過ごした仙台から加入した。すると、1月末のAFCチャンピオンズリーグに始まり、ここまでの全公式戦3試合に先発している。
まだチームの白星はないものの、新天地でギアを踏み込んでいこうとする矢先のリーグ戦中断。意気込んでいたであろうだけにショックも大きかったかもしれないと思いきや、本人は「それほどナイーブにならずに、そんなにストレスがたまることもなかったので、僕自身は楽だったなと思う」と冷静だ。
法政大学でのラストシーズン、永戸は後半戦を負傷で棒に振っている。「ケガしている時は、周りは楽しくサッカーできているのに自分だけできない、という状況なので、そっちのほうがつらい」。その5カ月近い離脱期間が、永戸を強くしていたのだろう。
同じく今季の新戦力ながら、負傷で出遅れていた杉岡大暉も、左サイドバックのポジション争いに戻っている。「杉ちゃん(杉岡)だけじゃなく、(山本)脩斗さんや(佐々木)翔吾もいて、4人で切磋琢磨している状況。リーグが再開したら過密日程になるので、誰か一人が出続ける状況は無理に近いと思うので、本当に誰が出ても遜色ないように一人ひとりがいいコンディションで望めるようにと僕自身は考えている」。その競走が、永戸の力をさらに高める。
そのうえで、「ピッチに立つチャンスがあったら、100%できるように」。1カ月を切ったリーグ戦再開に向けて、ひたすら前に進んでいく。
取材◎杉山 孝