1993年にスタートしたJリーグでは、様々な特徴を持つストライカーがゴールを奪い、得点王に輝いてきた。Jリーグ得点王の活躍を振り返る連載の第9回は、1年間の在籍ながら輝きを放ったウィルを取り上げる。
上写真=左足を自在に操って得点を重ね、自身初のJ1で得点王に輝いたウィル(写真◎J.LEAGUE)
J1デビュー戦で先制ゴール
岡田武史監督が就任して2年目の2000年、J2リーグで優勝してJ1昇格(1998年以来、トップリーグは2回目)を果たしたコンサドーレ札幌。しかし、J2得点王に輝いたエメルソンが川崎フロンターレに移籍したため、01年に向けて新しい得点源が必要になっていた。
そこで白羽の矢が立ったのが、エメルソンと同じブラジル人FWのウィルだった。98年に大分トリニータの前身、大分FCに加入し、99年からの2年間はJ2通算59試合出場・40得点の実績を買われての加入。だがJ1でプレーするのは初めてで、どこまで活躍できるか不透明な部分もあった。
迎えた1stステージ開幕戦。自身J1デビュー戦となったセレッソ大阪とのアウェーゲームで、ウィルはいきなり加入後初得点となる先制ゴールを決め、2-1の勝利に貢献する。その後も第2節で2得点、第4節では1得点と、すぐにJ1でも結果を残した。
エメルソンのように圧倒的なスピードがあるわけではないが、ゴール前での落ち着きとシュートのうまさ、利き足の左足から繰り出す多彩なキックを武器に得点を重ねた。177センチ・76キロと大柄ではなかったものの、体をうまく使うポストワークも巧みだった。
結局、1stステージは全15試合中14試合に出場してチーム最多の12得点。コンスタントに得点を重ね、J1残留を目指すチームを16チーム中8位に押し上げる原動力となった。