4月1日、Jリーグは第4回の臨時実行委員会を開き、委員会後にオンラインでブリーフィーングを行なった。Jリーグの選手や関係者にも新型コロナウイルスの感染者が出た中で、どのように再開へ向けて準備を進めるのか。今後の見通しについても村井満チェアマンらが報告した。

上写真=現状では発表通りJ3が4月25日に開幕し、J2は5月2日、J1は5月9日に再開する予定だ(写真◎J.LEAGUE)

やれる限り最大限の準備を

 先般、Jリーグはリーグの再開及び開幕に関して、J1は5月9日、J2は5月2日、J3は4月25日という日時を設定し、準備を進めると発表した。ヴィッセル神戸の酒井高徳や関係者、ザスパクサツ群馬の舩津徹也の新型コロナウイルスの感染が明らかとなり、さらなる感染拡大が懸念される中、村井チェアマンは「予断を許さない状況であるものの、世の中の趨勢を見つつ、再開に向けてやれる限り最大限の準備をする」と現時点での日程変更はないと説明した。

 仮に緊急事態宣言が発令された場合については、J3が開幕する4月25日まで3週間あり、当初の予定通りに準備を進めていくという。緊急事態宣言は地域ごとに発令されるものであるとの理解があり、国民の健康や世論を鑑みつつ、クラブや地域ごとにケースバイケースで対応していく。スタジアムの収容率を50パーセント以下にできるか否か、無観客で開催可能かどうかなど、状況に応じて検討する。

 ルヴァンカップについても現状のスケジュールで再開できれば現行のフォーマットで開催可能であることを確認したという。ただし、仮に試合を中止せざるを得ない状況となった場合には、その都度、対応していくとした。

新設のエリートリーグは中止

 また、この日の実行委員会ではリーグ戦の開催やスクール活動が実施できないことなどによる収益減の状況を踏まえて、各クラブへの財政面の支援をあらためて確認した。今年からスタートする予定だったエリートリーグも中止し、開催の費用(予算)を財政が苦しくなるクラブへの補てん金に充てることが提案されている。

 試合日程に関するプロジェクトのリーダーを務める黒田卓志氏によれば、若い選手たちの出場機会を増やす狙いで設立されたエリートリーグは今季、「リーグ中断で再開後の日程がタイトになるために、必然的に若手選手の出場機会が増えることが予想されること、日程に調整やチーム編成が困難になるとの理由もあり、今季に限っては中止を提案することになった」という。

 なお、財政面について村井チェアマンは、次の通りの説明を各実行委員に行なっている。

「Jリーグはこれまで比較的順調に成長を遂げてきた。直近の数年間では大きな成長の可能性を確信していた。平時の状況においてJリーグは、ある意味で護送船団的な方針から競争のフェーズに移行し、各々の経営努力が報われるように、経営努力が競技成績において大きく傾斜するようなオペレーションに移行するということを宣言してきた。しかし2020年においては、Jリーグにとっても非常事態であり、競争のフェーズからいったん、チューニングを行なう必要がある。そのことを(各クラブの実行委委員に)宣言した。クラブによっては経営危機が訪れる可能性もあり、平時とは違うオペレーションに移行せざるを得ない状況であるという認識の中で、競争のフェーズの象徴的な理念強化配分金という施策に関しても見直していく。今はすべてのクラブがしっかりサービスを提供できるように、経営基盤をしっかり守ろうということ。有事であるという認識のもとで、そのことを各クラブに申し上げた」

 このブリーフィング後には、セレッソ大阪の永石拓海の感染が明らかになった。Jリーグは今、日々状況が変わり、難しい判断と舵取りが求められる中で、歩みを進めている。


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