現在、Jリーグは開幕戦を終えて中断中だが、この連載では再開後のリーグ戦でさらなる活躍が期待される各クラブの注目選手を紹介していく。連載第8回は、大分トリニータのMF松本怜を取り上げる。

今季もその名人芸が楽しみ

画像: 松本はC大阪戦でも右サイドからのクロスでチャンスを創出した(写真◎J.LEAGUE)

松本はC大阪戦でも右サイドからのクロスでチャンスを創出した(写真◎J.LEAGUE)

 もっとも、1トップが誰であれ、松本には十中八九、チャンスにつながるような必殺技がある。一発で敵の守備陣の背中をえぐるアーリークロスだ。実際、開幕戦でも満を持して繰り出し、相手ベンチを凍りつかせた。

 判定は松本のキックよりも先にライン裏へ抜け出した知念のオフサイド。その後のシュートもGKの正面を突いた。知念があれを確実に仕留めるようになったら面白い。

 若い頃から韋駄天として鳴らした松本も先月で32歳。自慢の走力に陰りが――いや、見えない。まるで見えてこない。しかも依然として、ガス欠知らず。タッチライン際での激しい上下動を最後まで繰り返す。

 とくに守りに回った瞬間、全速力で帰陣する姿、すべての若手選手に見習っていただきたいものだ。それにしても、あのスタミナはどこから来るのか。汗血馬も真っ青だろう。

 クロスの技量にしろ、尽きることのない走力や体力にしろ、日々の研鑽の賜物と言うほかない。あのベッカムと同様、一に練習、二に練習、三四がなくて五に練習――という基本の「き」が体に染みついているためか。ついでに、甘いマスクもベッカム風だが。

 主将の鈴木義宣や守護神の高木駿らと同じように精神的にも戦術的にも代えのきかない選手だ。昨季も全試合に先発出場。出場時間もフルタイム出場の鈴木、高木に次ぐ三番手だった。

 クロスを含むラストパスの総数もファンジスタの小塚和季に次いで二番目に多かった。

 いったい、次はどんなクロスを放つのか。松本の名人芸を毎試合楽しみにしている身として、かける言葉はただ一つだ。とにかく、ケガしないでね――。いや、ほかの誰よりも片野坂監督がそう思っているに違いない。

Profile
まつもと・れい◎1988年2月25日生まれ、北海道出身。青森山田高から早稲田大を経て2010年横浜F・マリノスに入団。3年を過ごすも定位置確保には至らず、2013年に大分トリニータに期限付きで移籍。ケガに苦しみながら能力を示し、15年に完全移籍。以後、主軸を担い続けている。175cm、68kg


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