2月23日の明治安田生命J1リーグ開幕戦で、サンフレッチェ広島は鹿島アントラーズに3-0で勝った。序盤のピンチをしのぎ、狙っていた形で先制すると、後半に同じ形から加点。ホームで素晴らしいスタートを切った。

上写真=ショートカウンターから先制点を決めたドウグラス・ヴィエイラを柏好文が祝福(写真◎J.LEAGUE)

■2020年2月23日 明治安田生命J1リーグ第1節
 広島 3-0 鹿島
  得点者:(広)ドウグラス・ヴィエイラ、レアンドロ・ペレイラ、森島司

少ないチャンスを生かす

 序盤に主導権を握ったのは鹿島アントラーズ。ザーゴ監督が「立ち上がりが非常に良く、試合をコントロールした」と振り返ったように、ドリブルやパスを的確に織り交ぜて敵陣までボールを運び、サンフレッチェ広島を押し込んだ。2分にはFWエヴェラウドが右に流し、パスを受けたMFファン・アラーノが右足でニアサイドを狙ったが、右ポストを直撃。はね返りをMF和泉竜司が左足で合わせたが、今度は左ポストに当たって先制機を生かせない。

 その後も鹿島は相手を押し込んでいたが、少ないチャンスを生かして先制したのは広島だった。20分、FWレアンドロ・ペレイラが敵陣深い位置で鹿島MF三竿健斗に鋭く寄せてボールを奪うと、すぐさまゴール前のMFドウグラス・ヴィエイラへ。D・ヴィエイラが難なくネットを揺らし、均衡を破った。

 さらに広島は25分、GK大迫敬介が相手に寄せられながらもゴール前から左サイドのMF森島司につなぐと、森島から右サイドのD・ヴィエイラへ。一気にカウンターに転じ、最後はD・ヴィエイラの折り返しがファーサイドまで流れたところを、L・ペレイラが押し込んでリードを2点に広げた。

 鹿島は後半開始からDF広瀬陸斗に代えてFW上田綺世を投入するなど、選手交代で流れを変えようとするが、ゴール前までボールを運んでも広島の粘り強い守備対応に遭い、決定機を作れない。逆に広島は84分、交代出場のMF東峻希が敵陣深い位置で相手に寄せてボールを奪うと、これを拾ったL・ペレイラがつなぎ、最後は森島がフィニッシュ。先制点と同じような奪取速攻でダメ押しの3点目を奪い、3-0の完封勝利を収めた。

 鹿島はザーゴ監督が「ゲームをコントロールしながら、自分たちでパスミスを繰り返し、コントロールを失った。チームを作っている上でやってほしくないことが、いくつかあり、それをやってしまった」と振り返ったように、序盤のチャンスを生かせなかった後、自分たちのミスで崩れて勝機を手放した。これで公式戦3連敗、しかも依然として無得点と、苦しい状況が続いている。

 広島は、城福浩監督が「鹿島が前からプレッシャーをかけてきて、選手が圧力を感じたと思う」と振り返ったように、序盤のピンチで失点していれば、苦しい試合展開を余儀なくされただろう。だが幸運にも助けられて無失点で耐え、少ないチャンスを決めて主導権を奪い返した。

 前線からのプレッシャーでボールを奪い、ショートカウンターで仕留める形は、今季の攻撃の狙いの一つとして繰り返しており、2月16日のルヴァンカップ・グループステージ第1戦でも得点につながっている。この試合でも2得点が生まれ、城福監督も「我々が目指している得点パターンの一つ。これからも積み上げなければいけないが、まず成功体験を得られたのは大きい」と手応えをつかんでいた。

文◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE


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