上写真=冷静に2020年シーズンを展望した下平隆宏監督(写真◎J.LEAGUE)
キャンプでは全課程を修了
準備していたのは、1月上旬の始動からここまで1カ月だけではない。昨シーズンからJ1の舞台でいかに戦うかを考えてきたと指揮官は言う。途中就任でチームをV字回復させた手腕と、柏時代に上位争いした実績もある。その言葉は大言壮語ではない。
「キャンプではやりたいこと、積み上げたいものを、全課程というか、ほとんどできたと思っています。去年のJ2のときからスタイルは変えずに継続してきていますが、そのときからJ1に上がったときのことを考えてやっていました。J2で勝つためだけではなくて、J1に行ってこういうことをするんだよというものを目標にやってきた。そのへんはスムーズにできているし、積み上げができていると思います」
補強もうまくいったという。狙った選手をしっかり取れた。例えばFW一美和成。キャンプでは抜群の動きを見せていた。期待通り、いやそれ以上の活躍も見込む。
「今は一番手と言っていい。もちろん、長いシーズンですから、状況は変わりますし、イバや皆川との争いも続きますが」
ボールを大事に扱う。スピードに乗ったサイド攻撃を実践する。その二つは昨季から取り組んできた。そこの新たな選手たちを加え、レベルアップも図っている。そしてフィニッシャーもそろえた。キャンプでJ1仕様を、さらに進められたという。指揮官の言葉に自信が宿る。
また、新シーズンのJ1にはVARが導入される。これまでの戦いとの大きな違いだろう。そのことについても、指揮官は冷静に見通していた。
「結局、プラスにも働くし、マイナスに働くので、そこはやったみないと分からないところもありますが、選手にはプレーを止めるなということは。とくにオフサイドのところは、副審の旗を上げるタイミングが遅れたりするので、プレーを止めないことですね」
これまで、多くの昇格チームがJ1に適応できず、難しいシーズンを送ることになった。クラブの予算規模の問題や変化への対応に苦しんだからだ。ただ、下平監督が率いる横浜FCに限っては、その点を踏まえて準備してきた。今季の目標はトップ10入り、そしてJ1定着。まもなく、その目標実現に向けて、大いなる一歩を踏み出す――。