上写真=今季から背番号8をつけるMF脇坂(写真◎杉園昌之)
主軸としての自覚
司令塔としてゲームをコントロールし、ゴール前にも積極的に顔を出す。背番号8をつけたMF脇坂は、マエストロのようだった。
1-0のリードで迎えた20分過ぎ、FWレアンドロ・ダミアンからパスを受けると、ワンタッチでコントロールし、ゴール右隅へきれいに流し込んだ。ギラヴァンツ北九州のGKもただただ見送るしかなかった。
2日前の東京V戦に続いて2試合連続でミドルシュートからゴールをマークし、「敵陣に押し込んでいれば、相手の守備陣も引くのでミドルが打ちやすくなる。昨季から引き続き、やれているところ。ここからさらに感覚を鋭いものにしていきたい」と手応えを語る。
昨季はリーグ戦で18試合に出場、5ゴールを記録した。目に見える数字で実力を証明し、いまや欠かせない戦力になりつつある。大黒柱のMF中村憲剛がケガで長期離脱するなか、アタック陣の要として大きな期待を寄せられている。
もちろん、仕事は攻撃だけではない。本人も理解しており、素早い寄せで相手にプレッシャーをかけ、球際でも簡単に負けない強さを発揮。状況に応じて、冷静に構えて相手の攻撃を遅らせるなどリスク管理を徹底していた。この日は途中からキャプテンマークを巻き、声を出しながらチームを引っ張っていく姿勢も垣間見せた。
沖縄キャンプの練習試合では数字を残し、存在感を示しているが、現状には満足していない。「もっとやらないと。フロンターレのこのポジション(攻撃の中心)はもっと結果を出さないといけません」。主軸としての強い自覚が芽生えているのだろう。アカデミー出身の24歳が、ますますたくましくなってきた。
文・写真◎杉園昌之