※写真上=10月は日本代表に招集されなかった天野。悔しさはJ1でのプレーにぶつける
写真◎J.LEAGUE PHOTOS
■2018年10月5日 J1リーグ第29節
横浜FM 2-1 札幌
得点者:(横)仲川輝人、ウーゴ・ヴィエイラ (札)ジェイ
10月5日に行なわれたJ1リーグ第29節で、横浜FMは札幌に2-1で勝利した。21分に先制を許すが、その3分後に仲川輝人が同点ゴール。42分にウーゴ・ヴィエイラが加点し、前半のうちに逆転に成功した。後半はゴールこそなかったものの、試合を支配し続けて勝利を収めた。
超攻撃的へのシフトチェンジ「ようやく報われ始めている」
横浜FMが今季初の3連勝を飾り、暫定ながら9位へ浮上した。他チームは土日に試合があるものの、降格ラインにいる16位鳥栖との勝ち点差は「8」に開いた。今季は2連勝が2度あったが、「3度目の正直」でようやく3連勝を達成。52得点は現在リーグトップで、選手たちの口からは「勝ち癖がついてきた」(山中亮輔)などと、自信に満ちた言葉が続いた。
中でも充実感を漂わせるのは、天野純だ。「1試合を通じてでは、全然」と話すように、この試合でひと際輝いたわけではない。失点は、自陣中盤で天野がボールを奪われたプレーが発端だった。それでも、「自分のミスから失点してしまったけれど、別に(戦い方を)変える必要はないなと思っていました。このままやっていけば絶対勝てるなというのは感覚的にありました」と、チームのプレーに手応えを感じていた。
9月には森保一監督の下で新たに船出した日本代表に、追加招集ながら初選出された。コスタリカ戦では、キャップも刻んだ。しかし、札幌戦前日に発表された日本代表メンバーのリストには、天野の名はなかった。
それでも、代表漏れを力に変えるメンタリティーが、今の天野にはある。この日の試合を森保監督が視察することは知っていたといい、「オレを選ばなかったことを後悔させてやろう、というくらいの意気込みでプレーしていたんですけれど」と、笑顔で話す。
前半はインサイドハーフの天野と大津祐樹に対して、札幌のMFがマンツーマン気味に守備にあたった。42分には、それを察知した天野がうまく相手を置き去りにしながら、左サイドの密集をついてパス。山中をスペースへ抜け出させて、H・ヴィエイラの逆転ゴールにつなげた。
ただ、森保監督の前で“見せつける”まではできずに、ふがいなさを口にしたが、「(日本代表入りを強く意識する)気持ちを持ち始めたのは自分の中での成長」と変化を語る。残留争いが混戦になっている状況下でも、「正直、あまり残留(争い)を見ていなくて。確かに巻き込まれていますが、やっているサッカーは絶対にベスト3に入るようなサッカーだと思うので自信を持っている」と、視線は常に上に向いている。
実際に勝ち点8差の降格ラインより、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場ラインの3位につける鹿島の方が、7ポイント差と“身近”だ。長く続いた「堅守」から、「超攻撃的」に舵を取った名門が、「ようやく報われ始めてきているなという感じはある」(天野)と、逆襲に移ろうとしている。
取材◎杉山 孝