「公式戦は緊張感が違う」
厳しい結果となったが、試合後の乙倉監督は久しぶりの公式戦を喜んでいた。
「待ちに待ったリーグ戦のスタートなので、今日は本当に楽しみでした。相手との質の差が出ましたが、どんな練習よりも、いい時間になりました」
CBの一角で猛攻を浴びたキャプテンの大原瑠衣斗は試合終盤、足がつっていたが、やはり表情は充実感に満ちていた。
「相手に走らされて、最後は足がつってしまいましたが、やっぱり公式戦は緊張感が違います。白熱した1対1など、新鮮味がありました」
新型コロナウイルスの影響で、練習もままならない時期があった。インターハイ中止にショックを受けたという大原は「一人ひとりが強くなることがベースでした。離れ離れになっていたけれど、また集まったときに強くなるのが目標だった」と振り返る。それだけに、ようやく始まったリーグ戦で「一つひとつの試合を大切にやっていくことが、選手権予選につながっていく」と言葉に力を込める。
岡山県の選手権予選は9月13日に開幕し、玉野光南の初戦は10月18日の4回戦。スーパープリンスリーグ中国は全11チームの1回戦総当たりで、そこまでに玉野光南は6試合を戦う。選手権予選決勝は10月31日なので、9月5日の試合から約2カ月間の短期決戦だ。
昨年度の選手権予選、玉野光南は決勝で岡山学芸館に敗れた。その試合にも出場していた大原は、雪辱に向けて「パスの質、1対1の際(きわ)の部分などを練習からしっかりやっていきたい」と意気込む。乙倉監督は「実戦の経験を積みながら、選手権予選に向かっていきたい」と今後を見据えた。
5年ぶり9回目の選手権出場に向けた、濃密な2カ月間。玉野光南は一つひとつの試合をかみ締めながら、全国の舞台を目指す。
取材・写真◎石倉利英