上写真=主将としてチームを引っ張る新山。自身とチームのレベルアップに向けて努力を続ける(写真◎石倉利英)
変わり始めたチームの雰囲気
高校選手権出場25回などの豊富な実績で、山口県の高校サッカーを代表する存在の高川学園高。今年度の主将、MF新山大地は1年時から出場機会をつかみ、昨年度の高校選手権全国大会でも2試合にフル出場している。セカンドボールへの鋭い反応や、粘り強い守備が光るボランチで、ピッチ内外でチームを引っ張る存在だ。
江本孝監督に「お前がチームを引っ張ってくれ」と主将に指名された新チームは、苦しい状況が続いた。2月の新人戦はベスト16で敗退。新山は出場していなかったとはいえ、厳しい現実を突きつけられた上に、ほどなく新型コロナウイルスの感染拡大の影響が広がり、休校措置に伴う自主練習など、部活動も制限を余儀なくされた。
新山自身も、チームを引っ張っていく上で悩みを抱えていた。選手によって取り組みへの温度差がある中で、どのようにチームを引っ張っていくのか。自主練習で顔を合わせる機会が少なく、全員を同じ方向に向かせることに苦慮していた。
だが、全体練習が再開して夏が近づくと、チームの雰囲気も変わり始めた。7月末の鳥取遠征の際、新山は「練習試合も入ってきたので、一つひとつの試合を大切にしながら、選手権に向けて気持ちを切り替えていこうとしています」と語り、「いつも自分たちが意識している試合への入り方も、どんどん良くなってきていると思います」と手応えをつかんでいた。
練習試合を通じて、全体の雰囲気の良さを実感しているという。「A1、Aサブ、Bチームで3試合したときも、すべてのチームが、いつもと違う感じでした。特にAサブとBチームの雰囲気が良く、Aチームにも負けていなかった」と語るように、チーム一丸となって力を伸ばしている。
自分自身も、さらなるレベルアップの必要性を感じている。「ボランチとして、試合の流れや状況を見て仲間をコントロールする力が、まだまだ足りない」。卒業後の進路が決まっておらず、そこに向けても成長を続けていくつもりだ。その先にあるのは、もちろん高校サッカー最後の大舞台。「チームをしっかり強化して、選手権に向けて頑張りたい」と、2年連続26回目の出場に向けて意気込む。
取材・写真◎石倉利英