J1神戸で高卒ルーキーながら活躍する郷家友太が、母校・青森山田高校のキーマンとして、二人の後輩の名前を挙げる。「僕としては天笠(泰輝)やケネディ(三國ケネディエブス)といった、黒子に徹する選手も見てほしい」。まずは中盤の天笠泰輝を取り上げる。

ケガを乗り越えた苦労人

 青森山田時代の郷家と同じくボランチを担い、長短のパスで攻撃のリズムを作りだすのが、7番を背負う天笠だ。

 群馬県の前橋FCで中学時代を過ごし、1学年上には田部井涼(現法政大)ら、昨年度の全国高校選手権で優勝した前橋育英の主力選手も多い。代が変わっても、タイガー軍団の中軸にいるのは元チームメイトだ。「14番のヒロキ(秋山裕紀)とは、中学時代にボランチを組んでいて、今も連絡を取り合っています。本当にあいつだけには負けたくない」と、ライバル心を燃やす。

 地元に残った戦友とは対照的に、親元を離れ、本州最北端へとやってきた。「『高校3年間でプロになるから、(青森山田へ)行かせてくれ』って親を説得しました。だけど、2年生のときにケガしてしまって、7月から11月までサッカーできず、2年目を棒に振ってしまった」と、苦難の時期も過ごした。

 だからこそ、高校生活最後の年に懸ける思いは強い。「『3年目は絶対に出てやる』という気持ちでずっとリハビリしていました。以前は、練習が終わった後すぐに寮に帰ってゆっくりしていたけれど、ケガしてからは本当にケアが大事だと感じています。今は練習後にしっかりジョギングとストレッチをして、筋トレも欠かさない。体幹トレーニングも毎日続けていて、これからも継続していかなければ」と、常に体調管理に気を配る。

 黒田剛監督からの信頼も努力の原動力となっている。「監督は自分に期待してくれていると感じている。だから、自分はやるだけ。努力して、誰に負けないボランチになりたい。もっと上へ行ける選手になっていかないといけない」と、固く決意し、日々戦っている。

取材◎小林康幸

天笠泰輝[青森山田 3年/MF #7]
あまがさ・たいき/2000年5月11日生まれ、前橋FC出身。1年生のころもトップチームの試合に出場していたボランチ。広い視野と多彩なキックを武器に、ゲームをコントロールする。175cm、65kg


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