上写真＝相馬勇紀は徹底マークを振り切ってアシスト！（写真はJ1FC東京戦から／写真◎J.LEAGUE）
■2025年11月16日 天皇杯準決勝（観衆25,961人／＠国立）
町田 2-0（延長）FC東京
得点：（町）林幸多郎、オ・セフン
「ここまで来たら気持ち」
ミックスゾーンで記者が鈴なりになっている相馬勇紀の横を、FC東京の長友佑都が通るとき、ハグを交わしながら一言、「優勝しろよ」。
相馬はすぐさま「ありがとうございます。任せてください」と誓った。
この二人、試合中に何度もボールを争っては倒れ倒され、迫力満点のガチンコ勝負を繰り広げていた。
「もうめちゃくちゃマークされてて！」
思わず相馬も苦笑いだったが、常に2人に寄せられるような徹底マークに遭いながらも、その状況をポジティブに分析していた。
「前向きで持っていたときは2人来てもある程度はできたんですけど、特に前半の最初は受けるシーンが基本的に後ろ向きというか、ルーズボールを拾ったところを詰められたものだったので、あまり自分としては気にしていなかった」
前を向けばできる。だから、じっと待ち続けた。スコアがなかなか動かない難しい展開だったが、それは最後の最後にやってきた。
延長前半の103分に林が先制したあと、後半に入って109分、左奥でナ・サンホが粘ってヒールで戻したボールを前向きで受けた。目の前の東慶悟を軽やかに縦に抜き去ると、短く戻し、オ・セフンのゴールを導いた。
「ずっと密着されてたところから、1点入ったのもあって、ちょっとオープンになったところで一瞬ルーズになったので、東さんを抜けると思いました。（抜いたところで）シュート（コース）も見たんですけど、見たことによって敵が動いたのと、セフンが走り込んできたのが見えたので、セフンがよく決めてくれたなと思います」
苦しいときに仕事をするのがエース。相馬はそれを地でいくプレーで決勝へと導いた。クラブにとって史上初めての出来事だ。
「結局は、ここまで来たら気持ち。今日は見ていて分かったと思うんですけど、いつもより球際の厳しさや選手一人ひとりの気持ち、そこに対する強度は高かった。それを続けられたらなと思います」
対戦相手のヴィッセル神戸も、その「強さ」でタイトルを勝ち取ってきた。町田では初のメジャータイトル獲得に向けて、11月22日、本気の勝負が国立競技場を沸かせそうだ。
