上写真=川崎Fは相手の気迫と強力アタック陣に苦しめられた(写真◎Getty Images)
最後までクリサンに苦しめられる
敵地で戦った第1戦で3−2の勝利を収め、ホームに戻ってきた川崎Fだったが、試合の入りはどこか集中力を欠いていた。
8分、GKチョン・ソンリョンからボックスのすぐ外でパスを受けたCB大南拓磨の球離れが悪く、相手の寄せに対応できずに簡単にボールを奪われてしまった。そこからつながれてクリサンに決められ、先行を許した。
さらにである。25分には敵陣左で得たCKの場面で脇坂泰斗がキッカーを務めたが、サインミスからか、グラウンダーのボールは相手へのパスとなり、そこからロングカウンターを浴びることになる。橘田健人は持ち上がる相手を止められず、家長昭博も最後まで追走することができなかった。最後はガオ・ジュンイーにネットを揺らされてしまった。
2試合合計スコアで3−4とされた川崎Fは、前半30分と経たないうちに『逆転突破』の状況をつくられた。ここでようやくホームチームが目を覚ましたか、その直後からは細かいつなぎと縦への推進力を発揮し始めた。
ボールホルダーを追い越す動きも増え、山東泰山のゴールへと迫っていく。そして30分、2人の新戦力が追撃のゴールを生み出した。自陣でボールを奪った三浦颯太がそのまま駆け上がり、最後は山本悠樹のスルーパスを受ける形で左足を振り抜き、1点を返す。2試合合計スコアで4−4とし、追いついた。
後半の開始直後も川崎Fがペースを握り、59分にエリソンが追加点を記録。右サイド深く進入した家長のクロスにマルシーニョが飛び込み、右足でボレー。シュートは左ポストを叩いたが、跳ね返りを拾ったエリソンが蹴り込み、川崎Fが2試合合計スコアで5−4と再び山東泰山を上回った。
その後も川崎Fは攻守両面でアグレッシブなプレーを続けたが、山東泰山もクリサンを中心にカウンター攻撃を仕掛け続けた。川崎Fはボールを握るものの、山東泰山も効率の良い攻めとアタッカー陣の圧力でゴールに迫っていった。
すると73分に、そのクリサンにこの日2点目となるシュートをねじ込まれてしまう。川崎Fの右サイドからドリブルでカットインされ、ボックスの外からミドルシュートを決められた。ゴール前の人数はそろっていただけ悔しい失点となった。これで合計スコアで並ぶことになった(5−5)。
78分には山本のスルーパスからエリソンが抜け出し、相手GKワン・ダーレイに倒された。このプレーでワンにレッドカードが提示されたが、VARでエリソンの抜け出しがオフサイドと判定される。レッドカードも取り消された。
6分と表示されたアディショナルタイムは、完全に相手のペースだった。GKチョン・ソンリョンのビッグセーブで何とかしのいでいたが、90+7分に悲劇が起こる。
チョン・ソンリョンがクリサンのシュートをはじき出し、相手が右CKを得る。蹴り入れられたボールを、ボックス内で競り合ったが、ジャジソンがゴールを背にした体勢からシュート。再三のビッグセーブでチームを救ってきた川崎Fの守護神も、このシュートには反応できず。試合終了間際に、川崎Fは突き放されることになった。
その直後に無情の笛が鳴った。2試合合計で5−6とされた川崎Fの敗退が、その瞬間に決定。山東泰山のベスト8進出が決まった。
川崎Fはボールを握り、優位に試合を進めた時間も長かった。しかしシュート数は16本対20本と相手に上回られ、とくに終盤はピンチの連続だった。攻守が目まぐるしく入れ替わる展開は相手のペースだったか。打ち合い勝負に引きずり込まれ、その中で終盤まで相手の強力なアタッカーを封じきれなかったことが響いた。
クラブ悲願のアジア制覇は2023ー2024シーズンも達成できず。川崎Fはラウンド16、またしても志半ばで大会を去ることになった。