上写真=2ゴールを決めて勝利に貢献したウタカ(写真◎Getty Images)
■2023年12月12日 ACLグループステージ第6節・H組
ブリーラム 2−3 甲府
得点:(ブ)アーティット、チャウシッチ
(甲)長谷川元希、ピーター・ウタカ2
長谷川が先制! ウタカが2ゴール!
勝ち点は同じ8点ながら、総得点の1点差で甲府はメルボルンシティを抑えて首位に立っていた。つまり、立場は決して安泰ではない。この日対戦する勝ち点6で3位のブリーラムに負ければ、一気に最下位に転落する可能性もあったわけだ。
そうした状況のせいか、互いにやや慎重に試合に入るが、すぐに甲府はベクトルを前に向けて積極性を出していく。相手のビルドアップにもしっかりプレッシャーをかけていった。すると24分、敵陣でボールを奪った長谷川がそのまま持ち込んでボックス左から逆サイドのネットにシュートを突き刺す。鮮やかな先制ゴールでチームを乗せた。
38分には左からのクロスをボックス内で受けたウタカが相手と競り合いながらも収めてシュートを放ち、追加点。さらに43分にも右CKの流れからウタカが押し込み、前半で3−0とリードを奪った。
得失点差でも総得点でも他会場で浙江FCと対戦する2位メルボルンシティを大きく上回り、前半終了時点では甲府の首位通過に向けて大きく前進したと思われた。
ところが、その安心感がチームを消極的にしてしまったのか。はたまたブリーラムが心を入れ替えたのか。後半は、前半とは全く逆の展開になる。ブリーラムが攻撃的な姿勢を前面に打ち出し、甲府はスタートから受け身になってしまった。
相手のビルドアップを阻止できず、48分に途中出場のアーティットに背後に抜け出されてゴールを決められる。さらに55分にも、ピーラドルのシュートに対してボックス内でブロックに入った井上の手がボールに当たり、ハンドの判定を受ける。このPKをチャウシッチに決められてしまった。
その後も押せ押せのブリーラムの波状攻撃を受ける時間が続き、甲府は防戦一方となった。61分には、右サイドを攻略されてピーラドルにドンピシャのヘッドを許す。ここはGK河田が好セーブを見せて事なきを得たが、甲府にとっては難しい時間帯だった。
残り10分を切り、ロングボールを交えてゴールを目指すブリーラムの攻撃を甲府は必死に跳ね返した。河田を中心に粘り強さを発揮していく。自陣ボックス内に釘付けにされ、再三クリアボールを拾われ、二次攻撃三次攻撃を受けた。だが、甲府の選手たちの集中力は途切れなかった。我慢強く戦い続けた。
アディショナルタイムの5分間も、ほとんど自陣でプレーすることになったが、甲府は耐えに耐えた。そして試合終了。甲府は敵地で勝利をつかみ取った。
他会場のメルボルンシティと浙江FCが1−1の引き分けに終わり、甲府はグループHの首位で決勝トーナメント進出の切符を手にした。初のACL出場、初得点、初初勝ち点、初勝利と今大会で次々と歴史を塗り替えてきたが、決勝トーナメント進出という堂々たる歴史も刻むことになった。
▼出場メンバー
・甲府◎GK河田晃兵、DF関口正大、井上詩音、神谷凱士(72分:鳥海芳樹)、三浦颯太、MF松本凪生、中村亮太朗(82分:林田滉也)、クリスティアーノ(82分:ジェトゥリオ)、飯島陸(59分:蓮川壮大)、長谷川元希、FWピーター・ウタカ(59分:三平和司)