上写真=アジア王者として臨んだ浦和だったが、決勝トーナメントに進むことができなかった(写真◎Getty Images)
■2023年12月6日 ACLグループステージ第6節(@ミーディン・ナショナル)
ハノイ 2-1 浦和
得点:(ハ)ダオ・バン・ナム、ファム・トゥアン・ハイ
(浦)ブライアン・リンセン
PKを決めきれず、決められる不運…
浦和が属するグループJは浦項の首位通過が確定しており、浦和がネクストステージに進むためには2位を確保した上で、他グループの結果に委ねるしかない状況だった。
今大会のレギュレーションを改めて整理するとグループAからJの10グループの首位と、西地区の5グループの2位の上位3チーム、及び東地区の5グループの上位3チームがそれぞれ決勝トーナメントに進出する。東地区のグループJで2位につけていた浦和は、可能性を高めるために勝ち点をしっかり積んでおくことが必要だった。
試合開始直後から優勢だったのは浦和だ。スコルジャ監督は前節に引き続き、ベンチ入り停止でラファル・ジャナスコーチが指揮を執ったが、積極的なパス回しで攻撃を仕掛けていった。開始早々の5分には左CKの流れから相手CBダオ・バン・ナムがハンド。浦和はPKのチャンスを得た。
だが、キッカーを務めたショルツのキックは、相手GKグエン・バン・ホアンにストップされ、失敗。先制することができなかった。ただ、浦和はその後も攻めの姿勢を保ち、リンセン、シャルク、安居が次々にゴールに迫った。特にショルツの縦パスを受けて放った34分の安居のシュートは惜しい一撃だった。
前半は結局、0−0で終了。望みをつなげるために勝利をつかみ取りたい浦和は後半の開始から岩尾に代わって伊藤敦、小泉に代わって大久保を投入し、スコアを動かしにかかった。
だが、5ー4のブロックを組み、人数をかけて守るハノイのゴールをこじ開けることができない。すると53分、最も警戒していた形で失点してしまう。相手に左CKを与えると、ルタレクにヘディングシュートを許し、一度はGK西川がストップするが、こぼれ球をダオ・バン・ナムに頭で押し込まれ、先制ゴールを決められた。
浦和は前年度のACL王者であり、13日からサウジアラビアで開幕するクラブW杯に出場するため、他のACL出場チームよりも1週前倒しで、ACLグループステージ第6節に臨んでいた。J1最終節(3日)から中2日。各選手に疲労が蓄積していたのは確かだろう。それゆえにコンディションも考慮しつつ、ボールを積極的に回して攻め筋を探っていたと映るが、分厚いハノイの守備ブロックを崩すのは難しかった。
失点後、ますます割り切って守るハノイに対して、浦和は60分にシャルクに代えて関根、エカニットに代えてホセ・カンテを投入。攻撃を活性化させてゴールを目指した。
浦和の狙いが身を結んだのは65分。右サイドから荻原が斜めに送ったグラウンダーのボールにリンセンが走り込み、右足を合わせて1−1の同点に追いついた。その直後から追加点を目指して浦和はさらに分厚い攻撃を仕掛けていった。ただ、71分のホセ・カンテのヘッドも、80分の荻原のシュートも決めきれず。勝ち越し点が生まれない嫌な流れの中で、83分、逆に浦和に絶体絶命のピンチが訪れる。
左からのクロス(浦和にとっては右から)に対して、ボックスのすぐ外にいたグエン・ハイ・ロンの背後に張り付いていた荻原が胸トラップと同時に入れ替われ、ホールディングで倒してしまう。主審がPKを宣告。VARチェックを経て、実施されたPKをファム・トゥアン・ハイに決められ、1−2とハノイに勝ち越しを許すことになってしまった。
勝たなければ敗退が決まる浦和は、最後までゴールを目指したがネットを揺らすことはできず。すでに敗退が決まっていた相手に悔しすぎる敗戦。浦和はグループJの2位(勝ち点7)は確定しているものの、他グループの2位よりも勝ち点で劣るため、決勝トーナメントには進出できず。前年度のアジア王者は、グループステージで姿を消すことになった。
▼出場メンバー
・浦和◎GK西川周作、DF大畑歩夢(75分:興梠慎三)、岩波拓也、アレクサンダー・ショルツ、荻原拓也、MF安居海渡、岩尾憲(46分:伊藤敦樹)、小泉佳穂(46分:大久保智明)、エカニット・パンヤ(60分:ホセ・カンテ)、アレックス・シャルク(60分:関根貴大)、FWブライアン・リンセン