AFCチャンピオンズリーグ(ACL)・ラウンド16第1戦はホームの鹿島に軍配が上がった。接戦を制するゴールを決めたセルジーニョが、得点のシーンを振り返った。

上写真=鹿島の決勝ゴールを決め、チームメイトから祝福されるセルジーニョ(写真◎Getty Images)

■2019年6月18日 AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16第1戦
鹿島 1-0 広島
得点者:(鹿)セルジーニョ

「彼がどこにいるか分かっていた」

 試合の均衡が破れたのは前半24分だった。土居聖真がドリブルで敵陣深くまで進入し、左足でクロスを送ると、ゴール前にいたセルジーニョが頭でネットを揺らした。

「土居選手がドリブルで、ゴールライン際まで(ボールを)運んだので、クロスが来るだろうと思いました。うまく相手ディフェンダーよりも先にボールに触れることができてよかった」と、満足げに振り返った。

 ただ、決して簡単なヘディングシュートではなかっただろう。まず、シュートのときに対峙していたのは、日本代表DF佐々木翔だった。「(ゴール前へ)走り込んでいたときに彼(佐々木)とぶつかった」(セルジーニョ)。そのときに、「彼がどこにいるか分かっていた」と、佐々木の守る位置を把握していたという。

 さらに遡ると、土居のクロスは対峙していたDF野上結貴に当たって、軌道が変わっている。勢いよくセルジーニョの前に入った佐々木はボールの落下地点に入ることができなかった。それを尻目にブラジル人の点取り屋は、「クロスが上がった時点で、ボールだけを見ていた」と、ボールの行方に集中していたことを明かす。

画像: ゴールの瞬間、「ボールだけを見ていた」というセルジーニョ(18)は、佐々木(左)のマークをかわした(写真◎Getty Images)

ゴールの瞬間、「ボールだけを見ていた」というセルジーニョ(18)は、佐々木(左)のマークをかわした(写真◎Getty Images)

 昨シーズンの準々決勝第1戦(○3-1天津権健=中国)では、ACLデビューを自らのゴールで飾った。その後の決勝トーナメントの試合でも得点を取り続けた。唯一ゴールネットを揺らせなかったのは、スコアレスドローで優勝を決めたアウェーのペルセポリス(イラン)戦のみ。

 そして、今シーズンもまた、決勝トーナメントの初戦でゴールを決めた。18番を背負うブラジル人は、トーナメント戦での勝負強さを見せている。

 それでも、「アントラーズの一員として、どの試合でもチームのために全力を尽くす。チームメイトの手助けをする。その中でゴールだったり、アシストといった結果が生まれる。チームに貢献できれば、と思いながらピッチに立っている」と、本人はいたって謙虚だ。

「(広島との第2戦でも)今日(の試合)と同様に、非常にタフな試合になることが予想される。今日のようにしっかりと戦い、走り、監督の戦法をみんなで実行する。しっかり戦って、次のラウンドに進みたい」

 鹿島を再びアジアの頂点へと導くべく、王国から来たアタッカーはさらなるチームへの貢献を誓う。

取材◎小林康幸


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