上写真=三笘薫が最高の笑顔。57分に入ってリズムを作った(写真◎Getty Images)
■2022年11月23日 カタールW杯E組(ハリーファ)
ドイツ 1-2 日本
得点者:(ド)イルカイ・ギュンドアン
(日)堂安律、浅野拓磨
「相手が後手になってくれました」
やはり、何かをやってのける男だ。三笘薫が同点ゴールを生み出す起点になって、ドイツへの大逆転金星をもぎ取った。
「まだ実感はないですけど、すごいアドバンテージなので、第2戦につながると思います」
後半に3バックに代えた日本は、57分に浅野拓磨と三笘を投入した。三笘は左ウイングバックに入った。0-1でリードされ、前半は押し込まれる展開だったから、守備の修正に重きを置いたシステム変更。まずは守備でしっかりと役割を果たして、初めてのワールドカップに馴染んでいった。
すると、勢いを増した日本の左サイドで自慢のドリブルが効果を表す。61分にぽっかりと空いた中盤で持ち運んでから左へラストパス、浅野のフィニッシュを導き出した。すると、75分だ。またも左でボールを引き出すと、中に持ち込みながら斜め前へ、南野拓実が左足で狙い、GKのマヌエル・ノイアーに弾かれたが、堂安律が蹴り込んだ。同点!
「相手も少し余裕を見せていたと思いますし、途中から入って前に力をかけることは意識して、相手が後手になってくれました」
ドイツの慢心と重い足を見逃さなかった。間違いなく日本のペースになった。そして、83分に浅野が逆転ゴール!
「これまでほとんど逆転したことはないですけど、ここで出るというのは運もあると思いますし、でも、チームとして我慢強く戦って何度かオフサイドもありましたし、ついていたと思います」
粘り強さが運を引き寄せた。
大会前に体調不良で合流が遅れたが、初戦に十分な力を発揮するところまで戻してきた。
「まだ100パーセントではないけどチームの力になりましたし、しっかりコンディションを上げたいと思います」
この試合の三笘のもう一つの成果は、もしかしたらあの美しいドリブルを「封印」したことかもしれない。相手を抜き去るドリブルはほとんどなく、相手を寄せておいて味方に預けるパスでリズムを作った。いわば、ワールドカップのデビュー戦であえて「隠す」ことに成功した。
続くコスタリカとの第2戦、そして東京オリンピックで屈したスペインとの対戦が待つ。そこであのドリブルを解き放ち、今度はゴールにも期待が集まる。
「もちろん狙っていきますけど、チームとしての役割をしっかり考えて、今日はウイングバックだったのでチームのためにプレーすることが大事だと思います」
守備から入ってリズムを生んだ初戦を越えて、日本の誇る最高のジョーカーが次はどんなことをやってくれるのか。