上写真=宮本恒靖さん、武智幸徳編集委員、新井麻希アナウンサー
毎回『初耳の話』が飛び出す濃密な30分
『ピッチの空耳』
かつてサッカーマガジンで連載していた名物コラムのタイトルである。筆者は日本経済新聞運動部の記者(当時)、武智幸徳氏。独自の視点と鮮やかな筆致でそのコラムは熱狂的な支持を集めていた。かく言う私も、熱烈な読者の一人で、読むたびにサッカーの知見が広がった気がしたものだった。
月日は流れ、今、その名物コラムを別の形で楽しめるようになった。文字通り『耳』で聞けるようになった。他ならぬ武智幸徳さんがホストを務めるラジオ番組がある。番組タイトルはそのままズバリで『ピッチの空耳』。ラジオNIKKEIで第3・第4月曜日に放送中だ。
番組は今年2月にスタートし、毎回多彩なゲストを招いてサッカーに関するさまざまなテーマについてトークが繰り広げられている。これまでに山本昌邦さん、家本政明さん、水沼貴史さん、都並敏史さんが登場。いずれの回でも空耳ならぬ初耳のエピソードを聞くことができた。
この6月のゲストは、宮本恒靖さん。言わずと知れた元日本代表のDFで、現在は日本サッカー協会の理事で会長補佐と国際委員長も兼務する日本サッカー界屈指の国際派である。20日の放送では、宮本さんがフェイスガードを付けて臨んだ、2002年の日韓ワールドカップについての話題で盛り上がった。
森岡隆三選手の負傷により急きょ出番が訪れた初戦のベルギー戦のこと。選手同士で風呂場で話し合い、修正を施して臨んだロシア戦のこと。地元大阪で臨んだチュニジア戦のこと。そして涙に暮れたトルコ戦のことーー。日本国中が熱狂に包まれた日韓大会の思い出と、その後の日本サッカー界に与えた影響について、宮本さんの考え、武智さんのとらえ方を知ることができた。
今年は、2002年大会から20年という節目の年で、様々なメディアで同大会に出場した元代表選手の言葉に触れる機会があった。ただその中でもキャプテンマークを巻き、熱狂の中心にいた宮本さんの肉声、そして最前線で取材していた武智さんの考察は、やっぱり深いものがある。
次回6月27日の放送も引き続き、宮本さんが登場。FIFAマスターを修了し、2014年のブラジルW杯でFIFAのテクニカルスタディグループとして活動した経験、国際委員長という立場から、世界と日本のサッカーについて、日本サッカーの発展について語っている。今回も必聴の『初耳話』が期待できそうだ。
日韓W杯が開催された2002年は、サッカーマガジン誌上で『ピッチの空耳』の連載がスタートした年でもある。その後11年間にわたって続いた名物コラムは雑誌の発行形態の変更に伴い、いったん終了したものの、今、『聞くコラム』として復活を果たした。かつてピッチの空耳にワクワクしていた方、今回初めてその存在を知った方も、ぜひ一度、番組を聴いてほしい。きっと第3、第4月曜日が待ち遠しくなるはずだ。
推薦人◎佐藤 景(サッカーマガジンWeb)
■ラジオNIKKEI『武智幸徳のピッチの空耳』
・出演:ホストは日本経済新聞の武智幸徳編集委員、進行は新井麻希アナウンサー。月替わりでゲストを招いてサッカーの過去・現在・未来を語り尽くす。
・放送日時:毎月第3、第4月曜 18時~18時30分
・番組の聴き方:
ラジコで聴く→ http://radiko.jp/#RN1
Podcast → http://www.radionikkei.jp/podcasting/soccer-radio/archive.html
※radiko(ラジコ)のサービスを利用して、PCやスマートフォンなどで全国無料で視聴可能。ただし音楽が聴けるのは、オンエア中のみ。放送後はラジコのタイムフリー機能やポッドキャストでも聴取が可能。