U-21日本代表がUAEで戦う『ドバイカップU-23』。3月23日に初戦となるU-23クロアチア代表戦を迎える。東京ヴェルディの中盤で不可欠の存在になっている山本理仁は、ゲームをコントロールする強みを生かして、日本代表で活躍する田中碧を追いかけていく

上写真=山本理仁は中盤で試合の流れをコントロールする(写真◎スクリーンショット)

「判断のスピードは見習わなければいけない」

 U-21日本代表の一員として『ドバイカップU-23』に出場する山本理仁は、2021年の東京オリンピックの前に当時のU-24日本代表が最後に臨んだ7月のトレーニングキャンプに「トレーニングパートナー」として参加している。大きな刺激だった。

「実際にトレーニングパートナーに呼んでもらって、悩んでいた時期なので得たものが大きくて、それがあって東京オリンピックのような舞台でやりたい気持ちが強くなりましたし、あの中で日本が優勝したら相当気持ちいいだろうなと思うので、できるようにやっていきたい」

 東京ヴェルディで17歳から出場機会を得た期待の星。そこから数えて今年が4シーズン目ということになるが、まさに昨年7月の前は急速に出番を失った時期だった。そんなときにトレーニングパートナーとして呼ばれたことがたくさんのことを変えていった。何しろ、自国開催のオリンピックに向かう直前の調整の段階に、チームに入ってプレーしたのだ。

「ピリピリ感はいままでサッカーをやってきた中でも段違いでありましたし、デュエルのところは海外組と初めてやらせてもらって全然違いました。これをやっていかないと上にはいけないんだと感じた一番のポイントです。そこはいま、頑張ってやっています」

 東京ヴェルディでは堀孝史監督の下、J2開幕から5試合すべてにフル出場、課題だったゲーム体力もついてきた。4-3-3ベースのチームで、中盤のセンターでゲームをコントロールする役割を与えられている。第4節のザスパクサツ群馬戦では途中から1列前に上がると、右サイドでパスを受けてそのままドリブルでゴール前に進入、角度のないところからGKの股を抜くシュートが決勝点となって1-0の勝利をもたらした。東京Vは5節まで3勝2分けと絶好調。それをそのままドバイカップに持ち込みたい。

「自分の持ち味、ゲームを展開するところやコントロールするところは第一に発揮していきたいですし、チャンスがあれば前の方に行って得点やアシストができるのも自分の良さだと思っています。チームの勝利が第一ですけど、そうやって貢献できればと思います」

 今回のU-21日本代表では田中聡(湘南ベルマーレ)、藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)、川崎颯太(京都サンガF.C.)、松木玖生(FC東京)とJ1で活躍する選手も同じポジションに多い。十分な準備期間が取れないから、細かなコンビネーションは望めないかもしれない。だからこそ、ゲームの流れを調節するのが得意な山本のスタイルが大事になってくる。

「縦に早く行き過ぎてもカウンターのリスクがあるので、ボランチで舵を取る人間としては、行くところと行かないところを見極めないといけないと思っています。最後は前の人の判断になりますけど、自分が持っているときは自分が判断しないと」

 その意味では、トレーニングパートナーとしてプレーしたときのU-24日本代表の田中碧がモデルになる。

「碧くんは自分とタイプが似ているというか、ボランチの選手であり、ゲームをコントロールする選手です。背後のスペースがよく見えていて、周囲の察知能力に長けています。判断のスピードは見習わなければいけないし、間近で見ることができて財産になります」

 その田中はA代表でいまや欠かせない存在だ。ワールドカップ最終予選で初出場したホームのオーストラリア戦で初ゴール、日本を救った。その田中も常に「周りが気持ちよくプレーできるように」と話していて、黒子に徹してゲームの流れをコントロールする役を買って出ている。

 その田中と決定的な違いがあるとすれば、山本がレフティーであること。

「まず自分のパスで仕留めたい気持ちもありますし、それができれば一番ですね。それをずっとやってきたので」

 左足からの決定的なパスで日本をコントロールする。ドバイで山本の感性が解き放たれるのが待ち遠しい。


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