サッカー男子で日本が初の決勝進出をかけて8月3日に臨んだのは、スペインとの準決勝。キックオフから猛然とボールを奪いに来るスペインがペースを握って攻め、日本が粘り強く守る展開が続いた。高い緊張感のまま0-0のタフな攻め合い、守り合いが続いたが、115分にゴールを許して0-1で敗れる悔しい結果に。

上写真=日本が歴史を変える戦いに挑んだが、スペインに最後の最後で決められて敗れた(写真◎Getty Images)

■2021年8月3日 サッカー男子準決勝(@埼玉スタジアム)
スペイン 1-0(延長)日本
得点者:(ス)マルコ・アセンシオ

・スペインメンバー:GKウナイ・シモン、DFオスカル・ヒル(46分、ヘスス・バリェホ)、エリク・ガルシア、パウ・トレス、マルク・ククレリャ(106分、フアン・ミランダ)、MFマルティン・スビメンディ(97分、ホン・モンカヨラ)、ミケル・メリノ(59分、カルロス・ソレル)、ペドリ・ゴンサレス(84分、マルコ・アセンシオ)、FWミケル・オヤルサバル、ラファ・ミル、ダニ・オルモ(59分、ハビエル・プアド)
・日本メンバー:GK谷 晃生、DF酒井宏樹、板倉 滉、吉田麻也、中山雄太、MF遠藤 航、田中 碧(118分、橋岡大樹)、堂安 律(91分、前田大然)、久保建英(91分、三好康児)、旗手怜央(65分、16相馬勇紀)、FW林 大地(65分、18上田綺世)

吉田麻也、谷晃生らスーパープレー連発

 あとわずか、足りなかった。鋭敏な守備でスペインを追い込みながら、延長後半の115分に一瞬のスキからマルコ・アセンシオに蹴り込まれて失点。残り5分とアディショナルタイムの目安の3分を総攻撃に費やしたが、わずか1点が届かなかった。

 日本は勝てば史上初の銀メダル以上。歴史を変えるための戦いに、本気のスペインが立ちはだかった。EUROに出場していたメンバー6人を先発起用して、必勝態勢。キックオフからの圧巻のプレーで日本を押し込んでいく。

 5分、左からのマルク・ククレリャのクロスに板倉滉がクリアしたところをミケル・メリノがヘッドで狙うが上へ。中央のペドリ・ゴンサレスが柔らかく右に展開してオスカル・ヒルがワンタッチで戻し、ミケル・オヤルサバルが狙うがこれも上へ。39分にはメリノのワンタッチパスで中央を割ってラファ・ミルが狙うが、GK谷晃生がストップ。自慢のパスワークはもちろん、ハイプレスで日本の最終ラインからの組み立てを引っ掛けて再び攻撃に出て、攻守のトランジションの鋭さと強度を保ちながら、連続して日本に襲いかかっていく。

 だが、日本も負けていないのだ。相手のプレスをかいくぐれば、堂安律が、久保建英が持ち運び、そこから広いスペースへ展開していく。34分には左サイドを久保が突き進んでカットインから右足で狙えば、1分後にも旗手怜央のパスで左を破って中山雄太が鋭くセンタリング、遠藤航が突っ込むが左に切れた。43分に堂安から預かった久保が右サイドをぐいぐいと突き進み、ニアへ。入ってきた旗手のシュートはブロックされた。集中力と冷静さ、そしてハードにバトルするバランスをしっかり保ったまま、後半に入っていった。

 後半もともに高いインテンシティを保って渡り合った。ビッグプレーは56分だ。日本は右サイドを崩されてペナルティーエリアに送られたボールに対して、吉田麻也がスライディングして競り合ったメリノが倒れた。主審はすかさず笛を吹いてPKを宣告、吉田にイエローカードを提示するが、VARチェックからオンフィールドレビューを経てPKも警告も取り消しに。吉田が先にボールに触って守ったスーパープレーだった。

 吉田だけではなく、谷もスーパーセーブを連発。76分、ディフレクションからミルの至近距離のシュートを勇気を持って前に出てブロックすれば、88分に再びミルの角度のないシュートをしっかりセーブ。ハイボールの安定感も抜群で、スペインの前に立ちはだかった。

 攻撃の回数は多くはなかったものの、65分にピッチに入った相馬勇紀が左から得意のドリブルを何度も披露。久保も相変わらずフィニッシュへの意欲を強く持ち、スペインを追い込んでいった。

 守備の集中が切れることはなく失点せずに、このまま延長戦へと入っていった。森保一監督は前田大然と三好康児を投入して、勝負に出た。スペインも疲れは明らかで足が止まりながら、それでもじわじわとボールを運んでは危険なところにボールを入れてくるのはさすがだった。

 しかし日本も、100分のミルのシュートも板倉が足を伸ばしてブロックするなど、スペインのテクニカルな攻撃をしぶとく防ぎ続けた。攻めても102分には左サイドを崩し、相馬の縦パスを中山が受けてクロス、前田がヘッドで狙ったがわずか上へ、というビッグチャンスも迎えた。延長後半に入っても、111分に左からのFKを三好が中へ、相手クリアを中山がシュート、こぼれ球をつないで最後は三好が至近距離からシュート、という迫力満点の連続攻撃を仕掛けた。

 緊迫の展開が続いた激戦はしかし、一瞬のスキを逃さなかったスペインが先手を打った。115分、左サイドからのスローインをオヤルサバルがつないでペナルティーエリアへ。受けたアセンシオが得意の左足を軽やかに振って、ボールをゴール左に送り込んで先制した。

 日本は最後の最後まであきらめない。吉田を前線に上げてパワープレー、最後は左CKに谷も上がった。それでも、実らなかった。

 こうして、スペインが1-0で逃げ切って激闘に幕が降ろされた。スペインは決勝ではブラジルと世界一をかけて戦うことになった。

 日本は残念ながら歴史を変えることはできずに3位決定戦へ。1968年メキシコ・オリンピック以来の銅メダルを手にするために、そのときと同じ対戦相手、メキシコと戦う。


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