上写真=キャプテンとして引っ張ってきた藤原優大。最後まで堂々と戦い抜いた(写真◎小山真司)
■2021年1月11日 全国高校サッカー選手権準決勝(@埼玉スタジアム)
山梨学院 2-2(PK4-2) 青森山田
得点者=(山)広澤灯喜、野田武瑠
(青)藤原優大、安斎颯馬
「自分に厳しく成長を促していきたい」
あの悔しさは、晴らせなかった。
1年前、2年生で出場した決勝で静岡学園(静岡)に敗れてから、藤原優大はその悔しさを忘れずに戦ってきた。キャプテンとしてチームを引っ張り、リベンジの舞台に戻ってくることができた。山梨学院との決勝戦。
12分と早々に先制されながら、57分にロングスローの流れからこぼれ球を左足で蹴り込んで同点とし、63分には安斎颯馬が決めて一気に逆転して底力を見せ、追いつかれはしたものの、結果は「2-2」だから、負けたわけではないのだ。しかし、チャンピオンとして名前を刻むことはできなかった。
「自分たちの力不足だと思います」
それが敗因だという。
「準決勝でいい試合ができたけれど、決勝ではラインが下がってしまってコンパクトにできずに、青森山田のサッカーができずに延長まで行きましたが、たくさんチャンスがあった中で決めきれませんでした」
センターバックとして統率する立場でありながら、ラインを下げてしまった。チャンスに決めきれなかった。だから、とどめを刺せなかった。
「去年、悔しい思いをしてから1年、こだわってきたつもりでしたが、それは『つもり』でした。結果が出なければ何も意味がありません」
まるで自分を断罪するかのように責めた。
「また準優勝か、と思いました」、あるいは「悔しさはありますけど、このチームでやってきたことは後悔ないと言ったらおかしいけど、自分はやりきったつもりです」と本音も漏らす。敗戦直後の複雑な感情を言葉にしてまとめるのは難しい。
山梨学院はキックオフからFW久保壮輝を藤原の目の前に立たせた。青森山田の攻撃の第一歩である藤原を封じ込めるために、敵将・長谷川大監督が練り上げた作戦だった。
「センターバックにマンマークがつくのは斬新というか、選手権の決勝でセンターバックの自分にマークがついてきて、どうすればいいのか頭が回らなくてコーチにアドバイス受けてできるようになりました。でも、プロになるにあたって自分の頭で考えないと。自分の未熟さや実力不足を痛感して申し訳ない気持ちがあります」
その奇策を打ち破って追撃のゴールも決め、その後も最終ラインをまとめていった。それでも、勝ち切ることができなかった。
「すべてにおいて甘かったです、相手よりも」
2年続けて、悔しさばかりが残ることになった。だが、藤原には次の大きなステージが待っている。浦和レッズに加わって、1年前とこの日の二重の苦しみをプロとして勝利で解放しなければならない。
「もう一回りも二回りも成長しないと、上では活躍できないと感じました。自分に厳しく成長を促していきたいと思います」
忘れ物を残した埼玉スタジアムがこれからはホームになる。この場所で取り返すチャンスはいくらでもある。