上写真=森保一兼任監督と横内昭展U-24代表監督(右奥/写真◎Getty Images)
1チーム・2カテゴリーというコンセプト
森保一監督は今後も、A代表とオリンピック代表の監督を兼任することになった。ただし、日本サッカー協会は、東京オリンピックが1年延期されたことで、A代表とU-23代表(来年はU-24代表)の活動が重なるケースが増えるため、両チームのスタッフ編成をあらためると発表。
A代表は、森保一監督、横内昭展コーチ、齊藤俊秀コーチ、下田崇GKコーチ、松本良一フィジカルコーチと、これまでの体制に2021年から新たにコーチが加わることになった。
一方でA代表活動がある際のU-24(現U-23)代表は、横内昭展監督、栗原克志コーチ、川口能活GKコーチ、中馬健太郎フィジカルコーチという編成で強化していく。
そして東京オリンピック本大会に臨むU-24代表の指揮は、森保監督が執り、横内氏がヘッドコーチ、栗原コーチ、川口GKコーチ、中馬フィジコという体制で大会に臨む。
つまり、東京オリンピック本大会は森保監督が指揮を執り、それまでの準備段階は横内監督がU-24代表を指導していく。その理由について反町康治技術委員長は、「選手にとって、チームにとって、代表スタッフにとって、今後の日本サッカーにとって何が一番大事かを念頭に議論を重ね、今回の決定に至った」と説明。来年の3月と6月はW杯最終予選と五輪の強化試合の日程が重なるため、本大会までは役割を分けることがベストという選択になったという。
これまで森保監督が兼任することで生まれたメリットについて反町技術委員長は「若い選手とベテラン世代との融合、大会を通じたラージグループの形成、選手に統一意識が生まれること(コンセプトやスタイルの浸透)、選手同士の信頼関係、チームへの帰属意識が生まれる点」を挙げた。その一方でデメリットとして「五輪チームにおける慌ただしさと混乱、その状況に反応してスタッフとの温度差、安心感の欠如」があったことにも触れている。
また、オリンピック本大会まで横内氏が監督としてチームを指導することにより、スタッフの役割が整理でき、選手の混乱を避けられるとの説明もあった。今年1月に開催されたAFC U-23選手権の8強で敗退した背景に、少なからず現場の混乱があったと推測できる。
そもそも24歳以下というカテゴリーはA代表でも主力となるべき年齢で、すでに堂安律や冨安健洋はA代表の常連。久保建英らも今後はA代表の主軸を担うと予想される。すなわち、オリンピック本大会に出場する選手たちを森保監督が全く見ないということは考えにくく、A代表でW杯予選を戦う選手たちが、東京オリンピック本大会に出場するケースは多くなるかもしれない。
今後は「1チーム・2カテゴリー」という考え方で代表活動を行ない、強化に努めていくと反町技術委員長は強調した。スタッフの再編成は、日程が重なるたびに議論百出となっていた監督兼任問題についての一つの回答とも取れる。
A代表は延期されていたW杯2次予選が10月、11月に控えており、代表活動は9月から再開する予定。森保、横内両氏の肩書(見え方)に少し変化を加えただけのようにも映る今回の決定が、説明通りに現場の混乱を解消し、選手にとってプラスに働くか、注目される。