歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第28回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成28年(2016年度)は鹿島アントラーズがJ1と天皇杯の二冠を達成し、クラブW杯では世界から称賛された。

上写真=チャンピオンシップを制し、7シーズンぶりにJ1で優勝した鹿島アントラーズ(写真◎J.LEAGUE)

CWCでレアル・マドリードと激闘

 Jリーグは前年に続き、この年も2ステージ制とチャンピオンシップ(CS)を採用した。1stステージを制した鹿島アントラーズは年間勝ち点で3位、2ndステージ覇者の浦和レッズが年間勝ち点で1位となり、年間勝ち点2位に入った川崎フロンターレとともに、この3チームがチャンピオンシップに進出した。

 1発勝負のCS初戦(準決勝)は鹿島と川崎Fの間で争われ、金崎夢生の得点で、鹿島が決勝に進む。ホーム・アンド・アウェーの決勝、第1戦は鹿島のホームで行なわれ、浦和が阿部勇樹の得点により1-0でモノにする。そして迎えた決勝第2戦。初戦を落とし、敵地に乗り込む形になった鹿島だったが、さすがは常勝軍団と呼ばれるチーム。試合運びが、冷静だった。

 試合開始早々に興梠慎三に先制を許し、さらなるピンチを迎えたが、前半のうちに金崎が得点して追い付くと、試合残り時間が10分あまりとなったところで鈴木優磨がファウルを受けてPKを獲得。これを金崎が決めて勝ち越しに成功。そのまま試合をクローズさせて、アウェーゴールの差で鹿島がシャーレを勝ち取った。

 J1王者となった鹿島は、開催国枠でクラブワールドカップ(CWC)に出場。オークランドシティ(ニュージーランド)、マメロディ・サンダウンズ(南アフリカ)、アトレティコ・ナシオナル(コロンビア)を撃破し、日本勢として初めて決勝進出を果たす。レアル・マドリード(スペイン)との決勝では、柴崎岳の2得点で2-2として延長を戦う激闘になる。結局、クリスティアーノ・ロナウドの2発で突き放されタイトルを逸したが、鹿島アントラーズの名を広く世界に知らしめることになった。

 国内のカップ戦では、浦和レッズが13年ぶりにJリーグカップを制覇。3年連続ファイナルに進んだG大阪をPK戦の末に下し、聖杯を掲げた。一方、吹田スタジアムで開催された天皇杯は鹿島が川崎フロンターレを下して優勝。クラブW杯決勝を戦った11日後に準決勝で横浜F・マリノスを破り、その3日後に決勝で延長戦の末に川崎Fに2-1で競り勝ち、J1との二冠を達成した。

■平成28年度の主な出来事(2016年シーズン)

・1月30日 AFC U-23選手権で日本が大会初優勝。6大会連続の五輪出場も決定
・2月20日 ゼロックス杯は広島が2年ぶり4回目の優勝
・2月27日 Jリーグ開幕。発足後初となる2月開幕
・3月7日 女子のリオデジャネイロ五輪アジア最終予選が行なわれ、日本は4大会ぶりに出場権を逃す
・3月27日 日本サッカー協会会長に田嶋幸三氏が就任
・4月16日 熊本地震により、J1・J2・J3のうち6試合の中止が決定
・4月27日 女子代表監督に高倉麻子氏が就任。男女A代表で史上初の女性監督が誕生
・6月21日 リーグ杯の大会名称を「YBCルヴァンカップ」に変更
・6月25日 J1・1stステージは鹿島が優勝
・7月1日 リオデジャネイロ五輪代表メンバーを発表
・7月20日 Jリーグは英国パフォーム・グループと17年以降の放映権契約を締結したことを発表
・8月2日 インターハイ決勝、市立船橋高が流通経済大柏高との千葉県勢対決を制し、3年ぶりに優勝
・8月10日 リオデジャネイロ五輪、日本は1勝1分け1敗でグループステージ敗退
・9月1日 ロシアW杯アジア最終予選の初戦で、日本はUAEに逆転負けを喫し黒星スタート
・9月3日 なでしこリーグ杯はベレーザが優勝
・9月25日 AFC U-16選手権(インド大会)で日本がベスト4進出。2大会ぶりにU-17W杯出場権を獲得する
・10月8日 なでしこリーグ1部はベレーザが連覇
・10月12日 17年シーズンからJ1の大会方式を1ステージ制に変更することが決定
・10月15日 ルヴァン杯決勝は浦和がG大阪を下し、13年ぶり2度目の優勝
・10月29日 J1・2ndステージは浦和が優勝
・10月30日 AFC U-19選手権(バーレーン大会)で日本が初優勝。U-20W杯出場権を獲得
・12月3日 Jリーグチャンピオンシップで鹿島が浦和を下し、7シーズンぶりにリーグ制覇
・12月17日 高円宮杯(U-18)チャンピオンシップで青森山田高が初優勝
・12月18日 日本で開催されたクラブW杯決勝、鹿島はレアル・マドリード(スペイン)に敗れて2位
・12月18日 大学選手権は筑波大が優勝(第65回)
・12月25日 皇后杯はINACが2年連続6回目の優勝(第38回)
・17年1月1日 吹田サッカースタジアムで開催された天皇杯決勝、鹿島が川崎Fを下す(第96回・16年度)
・17年1月9日 高校選手権は青森山田高が、青森県勢初の優勝を飾る(第95回・16年度)

画像: CS決勝第2戦で2得点を挙げた金崎夢生。優勝を呼び込んだ(写真◎J.LEAGUE)

CS決勝第2戦で2得点を挙げた金崎夢生。優勝を呼び込んだ(写真◎J.LEAGUE)

画像: CS決勝第1戦で浦和に先勝されながら第2戦で鹿島は粘り強さと勝負強さを発揮し、タイトルを手繰り寄せた。写真中央は土居聖真(写真◎J.LEAGUE)

CS決勝第1戦で浦和に先勝されながら第2戦で鹿島は粘り強さと勝負強さを発揮し、タイトルを手繰り寄せた。写真中央は土居聖真(写真◎J.LEAGUE)

画像: 鹿島の攻撃をけん引し、J1制覇に貢献した鈴木優磨(左)と金崎(写真◎J.LEAGUE)

鹿島の攻撃をけん引し、J1制覇に貢献した鈴木優磨(左)と金崎(写真◎J.LEAGUE)

画像: クラブW杯の決勝でクリスティアーノ・ロナウドのボールを奪いにいく小笠原満男(写真◎Getty Images)

クラブW杯の決勝でクリスティアーノ・ロナウドのボールを奪いにいく小笠原満男(写真◎Getty Images)

画像: クラブW杯決勝で2得点を挙げた柴崎。ブロンズボールを受賞した(写真◎Getty Images)

クラブW杯決勝で2得点を挙げた柴崎。ブロンズボールを受賞した(写真◎Getty Images)

画像: 天皇杯で優勝し、鹿島は2016年シーズン2冠を達成した(写真◎Getty Images)

天皇杯で優勝し、鹿島は2016年シーズン2冠を達成した(写真◎Getty Images)

画像: 浦和が13年ぶりにJリーグカップに優勝。チームを率いるペトロヴィッチ監督にとっては広島時代も含め、初タイトルだった(写真◎Getty Images)

浦和が13年ぶりにJリーグカップに優勝。チームを率いるペトロヴィッチ監督にとっては広島時代も含め、初タイトルだった(写真◎Getty Images)


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