あの頃があるから今がある――。この連載では大学時代に大きく成長し、プロ入りを果たした選手たちを取り上げる。第4回は、明治大2年時の意識改革が実って得点王に輝き、プロ入りを果たしたFW阪野豊史だ。

上写真=明治大で成長を遂げ、関東大学リーグ得点王にも輝いた阪野(写真◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子)

文◎杉園昌之 写真◎関東大学サッカー連盟/飯嶋玲子、J.LEAGUE

「どん欲にならないとダメ」

 見違えるような変貌ぶりだった。浦和レッズユース時代は原口元気(現ハノーファー=ドイツ)、山田直輝(現湘南ベルマーレ)、高橋峻希(現柏レイソル)といったタレント群に隠れて目立つ存在ではなかったが、明治大では大きなインパクトを残し、主役になった。

 阪野豊史。今シーズン、松本山雅FCでプレーするFWの名前は、2011年度の関東大学リーグ得点王として、歴史の1ページにしっかり刻まれている。1年生からベンチ入りし、天皇杯のモンテディオ山形戦でゴールを決めるなど、大学初年度から脚光を浴びる機会はあったが、本格的にブレイクしたのは3年生のときだ。

 転機となったのは、2年生の夏。同期の三田啓貴(現FC東京)とともにスペインに短期留学し、大きな刺激を受けたという。

「向こうの選手たちは、他人に負けない武器を持っていました。そこであらためて、プロになるためには短所をなくすよりも、長所を伸ばさなければいけないと思ったんです。持ち味を生かし、ゴールを狙いに行く姿勢をもっと前面に出していこうって」

 それこそが、浦和ユース時代に足りなかったものだった。周囲から「なぜお前はもっと自分で点を取りに行かないんだ」と指摘されたりしたが、20歳となり、ようやく点取り屋としての自覚が芽生えた。
 
「どん欲にならないと、ストライカーはダメですよね。点を取りに行く姿勢が大学で一番変わりました」

 意識改革した当初は空回りしていたが、3年生からは結果が伴った。力強いポストプレーに磨きがかかり、裏へ抜け出してチャンスをつくる回数も増加。抜け目のないワンタッチゴールで、パワフルなヘディングで、強烈なシュートで、次から次にゴールを積み重ねる。22試合で16ゴール。専修大の長澤和輝(現浦和レッズ)らを抑えてゴールランキングのトップに立ち、大学で初めて個人タイトルを手にした。

「得点王になり、自信がつきました。結果を出したことで周囲の評価が変わったと思います」


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