歴史を学ぶ『日本サッカー温故知新』の第4回。この連載では日本サッカーが大きく発展した『平成の30年間』を写真と記録で振り返る。平成4年度(1992年度)は、Jリーグカップが開催され、日本代表がアジアを制した記念すべき年だ。

上写真=広島で開催されたアジアカップで日本は初優勝を飾った。写真右は森保一現日本代表監督(写真◎サッカーマガジン)

J開幕前年、サッカーブームの兆し

 日本国内で高まるサッカーへの関心が、日本代表をあと押したのかもしれない。3月にオランダ人指導者、ハンス・オフト新監督を迎えると、新体制での初の公式大会となった8月のダイナスティカップで優勝を飾る。その勢いは本物で、11月には初めてアジアカップを制した。

 自国開催だったものの、2年前にアジア大会で敗れたイランにリベンジし、決勝ではサウジアラビアの3連覇を阻むなど、強敵を破って手にしたアジアナンバーワンの称号は価値あるものだった。なお、大会MVPにはカズが選ばれている。

 9月には、翌年のプロリーグ開幕に先駆けて、プレ大会としてJリーグカップ(現ルヴァンカップ)が開幕。5万6000人の観客を国立競技場に集めた11月の決勝では、新たに生まれたクラブ、清水エスパルスをスターぞろいの読売クラブ(ヴェルディ川崎)が下し、その8日前に日本女子リーグ3連覇を決めたベレーザとのアベック優勝を果たした。

 ちなみに、この第1回Jリーグカップで決勝点を挙げたのもカズ。まさしくJリーグ開幕に向けてサッカー人気をけん引する存在だった。

◆平成4年の主なタイトル一覧
JSL:開催なし
天皇杯:日産FC横浜マリノス(第72回・92年度)
Jリーグ杯:ヴェルディ川崎
Jリーグ杯MVP:カズ(V川崎)
高校選手権:国見高(第71回・92年度)
高円宮杯U-18:藤枝東高
大学選手権:中央大
日本女子リーグ:読売日本SC女子ベレーザ

■平成4年度の主な出来事(1992シーズン)

・1月19日 バルセロナ五輪・アジア最終予選(マレーシア開催)、日本は中国に1-2で敗戦
・1月22日 バルセロナ五輪・アジア最終予選、日本はクウェートと1-1で引き分ける
・1月25日 バルセロナ五輪・アジア最終予選、日本はバーレーンに6-1で勝利
・1月27日 バルセロナ五輪・アジア最終予選、日本は韓国に0-1で敗戦
・1月30日 バルセロナ五輪・アジア最終予選、日本はカタールに0-1で敗れ、5位で予選敗退
・2月7日 第2回アジア・カップウィナーズ選手権で日産が優勝する
・2月16日 第3回日本女子リーグが閉幕。ベレーザが2年連続優勝を飾る(91年度)
・3月12日 日本協会がハンス・オフト氏の日本代表監督就任を発表
・3月15日 第27回日本リーグ(JSL)1部は読売クラブが2年連続で王者に。東洋工業と並び最多5回目の優勝
・3月19日 プロ選手に適用される統一契約書が完成
・3月22日 第20回JSL・2部は、フジタが初優勝を果たす(91年度)
・3月26日 全日本女子選手権は鈴与清水が優勝(第13回・91年度)
・4月12日 ゼロックス・チャンピオンズ杯は読売が優勝。参加チームは読売、日産、トヨタ、ヤマハの4チーム
・5月26日 Jリーグ・プレスプレビューが開催され、参加10チームのユニフォームが発表される
・6月6日 第4回日本女子リーグ開幕
・7月13日 アジアカップ広島大会の組み分け決定。日本はUAE、北朝鮮、イランと同じA組に
・8月8日 インターハイは徳島市立高が初優勝
・8月29日 第2回ダイナスティカップで日本が初優勝。決勝で韓国を8年ぶりに破る
・9月5日 第1回ナビスコ杯が開幕
・9月6日 高円宮杯(U-18)は藤枝東高が優勝
・10月30日 地元開催のアジアカップに出場。A組の日本は初戦でUAEと0-0で引き分ける
・11月1日 アジアカップ、日本は1-1で北朝鮮と引き分ける
・11月3日 アジアカップ、日本は1-0でイランに勝利(A組2位で準決勝へ)
・11月6日 アジアカップ準決勝、日本は中国に3-2で勝利
・11月8日 アジアカップ決勝、日本がサウジアラビアを1-0で下し初優勝。カズがMVPに選ばれる
・11月15日 第4回日本女子リーグはベレーザが3連覇を達成
・11月23日 ナビスコ杯でV川崎が優勝
・11月29日 大学選手権は中央大が12年ぶりに優勝
・93年1月1日 日産が延長戦の末に読売を下し、天皇杯制覇(第72回・92年度)
・93年1月8日 高校選手権で国見高が2年ぶり3度目の優勝(第71回・92年度)

画像: ベレーザが日本女子リーグ3連覇を達成(写真◎サッカーマガジン)

ベレーザが日本女子リーグ3連覇を達成(写真◎サッカーマガジン)


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